ボーイズがラブする展開と高校生バンド物の両輪で、熱く切なく、ぼちぼち甘くて、おおむね陽気に駆け抜けてきたこの作品も最終話。
Hot waveで優勝して部の名誉を回復する(負け犬高校生活からの脱却)というGunの目的も。
それをサポートすることで交際禁止令を解除して片想いの人・Gunと交際するというTinnの目的も。
「健闘むなしくChinzhila破れる。でもHotwaveが終わったので堂々交際できるようになりました!」
という結末をもって11話の時点で完結。
「Hot waveで優勝すっぜ!」
という初回からの大目的にケリをつけてのエピローグ。それが今回の位置づけでした。
プロム用のステージバンドシーンを入れ込んでバンド物としてケリを付け、ボーイズラブとしてはお約束のキスシーン入れて、あたりさわりなく和やかに締めくくる事もきっと出来た筈なのですが……。
My school President 最終話の感想を
GunもTinnも堂々交際できるようになってガードが甘くなったのか。路チューの瞬間を撮られてしまってあっという間に大拡散。
とっても余談なのですが、最終話に数回GunとTinnのキスシーンがありましたけど、僕は「さぁ!君たちが見たかったものを!どうぞ!」
みたいな後半のやつよりこの不意打ちキスのが可愛くて好きですね。
でもって話を戻すと。
大拡散しちゃったとはいえBLドラマが市民権を得て5年以上が経過したこの現代において、男子2人が交際していたから「うへっ」となるティーンは少数派。
あっというまにTinnGunだ〜、GunTinnだ〜と大騒ぎになり「俺たち心配しすぎだったのかも」と2人は安堵の吐息をもらす。
この一連のエピソード。特にチンチラのメンツがこの告白を終始笑顔でネタにするのは地味に勇気づけられるシーン。
これに感化されて迂闊にオープンにしてしまうのはまだ早いと思いますが「いずれそうなればいいのにな」と思える世界。
一方その頃、Tinnママは自校の生徒の路チューシーンにクレームの対応が複数来ちゃって頭を悩ませる。
「どうして私達が見てるドラマのように彼らを暖かく見守れないのかしら」
というTinnママの台詞もあきらかに画面のこちら側にある現実社会に投げている印象の台詞でした。
エピローグとして和やかに終わる事も出来たのに、わざわざ最終話序盤というこのタイミングで差し込まれた一波乱は、これまでのエピソードと繋がりがなく、この後の出来事にもほぼ影響を与えないので、まるっと見なくてもドラマとしてはほぼ違和感なく観賞できます。
むしろ11話のラスト(Tinnママとの会話が始まる前)からいきなりプロムのシーンに飛んでしまった方がTinnとGun、そしてChinzhillaの物語としてはスムーズに流れる印象すらあります(なんとそれでも40分程。連ドラ一話分の尺があります)。
それでもあえてこの一波乱を突っ込んできたのは、自分たちが(おそらく複数の)BLドラマで描いた世界観を現実社会へ
「これで問題ありますか?こうなったら良くないですか?」
とダイレクトに問いかけたかったからではないのかな?と感じます。
それを演説口調でとうとうと述べるのではなくて、TinnとGunの交際を知った時の仲間の反応とか、Tinnママのぼやきとかでさらっと提示してくれるその見せ方も含めて好感度の高い演出でした(それでも受け入れない人もいるという描写も含めて)。
流れに影響を与えない一波乱終了後からが本当の意味でのエピローグ。
夢は叶わなかったけど、それぞれが少しづつ成長をしてプロムもそこそこ盛り上げてもはや「負け犬」とは言えなくなったGun達世代のChinzhillaが、後代のために楽器にポストイット貼ってくエピソードが今回の個人的な泣き所。
やばいね、MVのサムネがまた泣けますね。
主役2人だけじゃなく、というより個人的には主役2人以上に、この6人+生徒会長&軍事の8名で構成されるTeam Chinzhillaとして彼らの事を愛おしく感じます。
だらだらとそれなりに長くタイBLを見ていますが、これを書いている2023年2月27日時点では僕史上最も面白く、最も好きな作品になりました。
それでは読んでくれてありがとう。
また別の作品で。
待て次号!