タイBL、タイドラマに浸かる日々|サバイなブログ

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My School President 第11話。夢の終わりを認める過程を丁寧に描いた80分

熱狂を呼ぶパフォーマンスに手応えを感じたチンチラ達。

一週間にも及ぶ焦らしプレイを経て、ついに司会者は優勝者としてチンチラをあげた。

喜ぶ一同。

見てるこっちは「え?まじで(負けると実は思ってたので^^;)」という感じで、この先のストーリーはどうなるのかな?と思っていたら……。

それはGunの夢でしたというオチ。

夢から覚めたGun部長のもやっとした乾いた笑いに、結果はおのずと察せられます。

My school President 第11回の感想を

 rukacchii.hatenablog.com

9話がサブカプ含めて「恋」をメインにしたお話で、10話は親子の物語をメインにもってきていた本作ですが、この11話では青春バンド物をドラマの中心に据えています。

一話辺りの総尺は伸びる一方(なんと今回は80分超え。映画?)にも関わらず、話にダレ感を感じないのは扱うテーマが幅広い事に一因があるかもしれません。

 

 

 

「Hot waveで優勝する」という大きな目標の元に束ねられていたチンチラ達。

負けたという現実への受け止め方はバランバランで部長は見事に抜け殻だし、Winはイライラと「解散だ!」と荒れてるし、ママっこのPorは以前のように部室でみんなでワイワイとベーベキューがしたい。

勝ってそのまま交際だ!という妄想に浸っていただろう生徒会長は、そんなチンチラの不協和音を目にして「歌う機会を作ってあげれば、少しは気持ちも上向くのでは」とライブ配信を手配(もちろん軍師も手を貸した)するが負けた衝撃が強すぎてGunは歌を歌えない。その場を逃げ去るGun部長を見て、またもWinはイライラと「解散だ!俺は辞める」と当たり散らす。

「ベストを尽くしたんだから(傷つくんだよ)」的なTinnの慰めは、一番落ちてるこの瞬間にはまるで染みてこない慰めの言葉。

「ベストを尽くして、それでも負けてしまった」という事になったら、導き出せる結論は「そもそも才能がない」「すべてが無駄だった」という事にしかならなくて、落ち着くはずのどん底をさらに突き抜けて落ちていくしかないじゃないですか……。

さらに個人的には辛い時には泣かせてあげればいんじゃないかな、肩を貸してあげられる口実にもなるしと思ったんですが、日頃妄想をたくましくしてる割に生徒会長は気づかなかったようです。ピュアだね。いい人だね。

 

事態を反転するきっかけになったのは軍師Tiwさんの計略のおかげ……。ではなくうっかりミス。

チンチラを元通りの仲良しグループに戻したいPorと一緒にBBQを食べた後に、Tiwがうっかり足を滑らせた。「気をつけなよ」とたしなめたPorが今度を足を滑らせて階段を転げ落ち骨を折ってしまう。

「仏様は自分の願い(ノーミスでパフォーマンスさせて!)叶えてくれたのに、お供えをしていないからバチが当たった」

という説を主張するPorはお供えをしに行くと言い出した。

骨折した彼を1人で行かせるわけにはいかないと、チンチラ+生徒会長はお供え旅行に出発だ。一見元通りのチンチラボーイズに戻ったように思いきや、敗北の傷跡はまだ深い。

運悪く(というかこれもバチの一種でしょうか)工事中のために彼らは徒歩で移動す。

「お前の重荷は背負えないけど、お前は背負える」

というPatの台詞はおそらくロード・オブ・ザ・リング王の帰還のオマージュでしょう。

疲労困憊で歩けなくなった主人公のフロドに対して、庭師で友人でもあるサムが「俺に指輪は運べないけど、アナタは運べます」が言って彼を担いで山を登っていく、という感動的なシーンだったのですが、このドラマではその後Patが腰を痛めるギャグに昇華されていました^^

こんな感じのコミカルのシーンが続いた後だから、その後に来るちっさい事から喧嘩を始めて、むき出しの言葉で互いを切りつけあうシーンがより痛々しく感じられます。

吐き出した言葉がさらに胸の奥から怒りを引き出して制御不能になっていく様がリアルというか、臨場感が半端ない。

口走ってしまった言葉の激しさに、まるで怯えたように謝る様も身に覚えがないわけでもなく、とても印象に残るシーンでした。

 

喉の奥の方に引っかかってたドロドロした物を吐き出して、お礼参りも済ませて、さぁ前向いてチンチラ再始動だ!ってならないところがこのエピソードの好きな所で。

夢の終わりと一緒に分解しかねなかった彼らの絆は繋ぎ止められたけど、彼らの夢は戻らない。彼らは「これからも頑張ろう」とも言い出さない。

80分かけて描いたのは

自分たちの「夢」が終わってしまった事を、チンチラボーイズがちゃんと自分たちの腹に落とし込んでいくという流れ。

エピソード後半に漂っている寂しさと爽やかさが同居したような味わいが愛おしい。

かっては先輩たちのために歌った歌が、今は自分たちを癒やしてくれる展開も温かいし、高校生バンドらしい子供っぽさだなと思っていた決めポーズも彼らにとってもこれで最後なんだと思うとなんとも切ない。

くわえて今は「終わった」と思っていても、生きてれば敗者復活する機会は意外にしょっちゅうあるぞっていう希望を置いてってくれる優しさも染みる。

このドラマの中で現時点で最もの好きなエピソードとなりました。


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