まずは本作の予告編をご覧いただきましょう。
どん!
この予告編を見て「こんな話なのかな?」と僕が想像したのは以下のような感じでした。
「役者になるためにバンコクに来た2人。Tehさんが演劇部にも所属して夢への道を歩む一方、繰り上げ合格で志望校に入ったOh-aewさんは授業に苦戦してる事もあり、大学デビューで、はっちゃけちゃってパーティーやら飲み歩く事を覚えてしまう。一緒に役者になる同志なんだと思っていたTehさんは、同棲してる彼氏の変化が気に入らないし、なぜ変わってしまったかが理解できず、ついつい彼をなじってしまう。そしてついには別れ話にまで発展していく。さぁ2人はどうなるんだよ、待てシーズン3」
ま、平たく言いますと。
予告で描かれるOh-aewさんのイメージは非常に良くなかったんです。
タイBL「I promised you the moon」第一話の感想を
予想と全然違ったじゃん^^;
と初見では思ったわけですが、改めて、予想していたあらすじを書き連ねてみると、出来事ベースで見ると実は今のところそんなに外してもいないのかな?
とも思ったり。
あっ。
Youtubeに公開されたショートストーリーでは、Tehさん彼氏がせがんでるのに、キスためらっちゃってて「お前まだそこ吹っ切れてないのかぁ」と思ったのに、今回は水族館の水槽の前で積極的にむさぼりにいって、初々しいキスをサメに見せつけてったのには驚きましたね。
追記 うっかりしてました!水中キスがすでに一度ありました😅
「3日前(4日かすら?)の恥じらいはなんだったんじゃい!」
みたいな。
お母さんが自分のことをどう思うか、すごく気にかけていたTeh。
直前に母はすべてお見通しで、しかも「OK」の返事をもらった事が彼をポジティブにしたのかもしれません。
さてと。
そんなポジティブメンのTehさんは「役者になる(Oh-aewと一緒に)」という夢にブレがないので、演技の授業が始まってもいない内に、自ら動いて大学内の演劇部への入部を打診。
「役者の空きはないけど、制作でなら」
と言われ一瞬迷うも、結局は入部。
奇しくも演劇部の面々は公演をひと月後に控えているので稽古は佳境。
入学早々、舞台漬けという「これ天国じゃん!」という境遇を手に入れる。
たった一つ問題なのが、出来て間もない彼氏との時間がまるで捻出できない事。
最初こそ同棲しようと目論んだものの(お部屋のグレードもまるで違いますしね)とてもじゃないけど通えない。
あえなく学生寮に戻る事になったものの、大学生活はスタートから充実してる。
やりたい事が決まっていて、ポジティブにそれをつかみにいくTehさん。
その姿勢は実際のところ好印象ではあります。
好スタートを切ったTehさんとは違い、Oh-aewさんはまず住環境の変化に適合できない。
でもねOh-aewさん。
世のほとんどの人が「波の音」で朝目覚めたりはしないのですよ^^;
そのうえ同期の多くが元からバンコク在住だから、すでにグループが出来上がってて、なかなか友達ができずにいる。
肝心の演技の授業が始まるのはだいぶ先。
同郷の友人を遊びに誘っても「大学の事」で忙しい。
そして同棲とまではいかなくても、もう少し一緒にいられると思っていた彼氏は舞台の準備で会うことすらままならない。
埋まらない時間をどうにかするために電話したのは……。お母さん。
同年代の同性とワチャワチャしたり、恋人とキャッキャッしたい年頃なのにそれをする相手が見つからない。
それでも寂しさに勝てなくなって、遠く離れた親を話し相手として求める。
というのが、個人的に痛々しくてとても辛いエピソードでした。
友達も作れない自分が惨めに思えるというか……。
Oh-aewさんへの共感度が俄然強まるエピソード。
以降も自分だけなにも始められてないOh-aewを中心にお話は進んでいくので、ようやく作った友達がすこーしウェイ系だったりしても「良かったじゃん!」という気分になります。
このあたりの人物造形もよく考えられている印象で、苦労知らずのお坊ちゃまで若干生活が派手な印象はあるものの、悪人というわけでは全然ない。
この新しくできた友人に(現時点で)マイナスイメージがないせいで、自分だけ大学生活を満喫して、Oh-aewの寂しさに思いが至らないTehの評価が相対的に悪くなる。
なんだけど、Tehが悪いことをしてるのかというとそうでもない。
朝から晩まで舞台づけで、彼は彼で気持ちの余裕なんかない。
すでに述べたようにTehのエピソードだけを抜き出してみたら、むしろ好感度の高い展開。
なのに、表に出さないようにして、Oh-aewが寂しさに苦しんでる様と並行して描かれていくと「少しは彼氏をいたわりましょうよ」という気分になります。
頑張る彼のために用意した花も結局は渡せず落ち込むOh-aewに、ウェイ系の1人が手を差し出して踊りの中に引き入れる。
落ち込む彼と、笑いながら踊る彼。
連続してるはずの2つシーンを、わざとらしくブロッキング(画面の一部を遮る事)することで扉をくぐったような印象になっていて、この瞬間、ようやくOh-aewの「バンコクでの新しい生活」が始まったことを感じさせます。
それがOh-aewにとって幸せなものかどうかは待て次号だ!
I promised you the moonは(執筆当時)動画配信サービスVimeoのオンデマンドコンテンツとしてインターファンには有償で提供されています。
字幕は英語と中国語。
600円程度なので全5話視聴して3000円程度です。
これまでのブログはこちらだ。