あっというまに2人は2年生(Sophomore year)になったようですよ。
この調子で、一話につき一年間という時間の流れになるんでしょうか。
ん?一年余っちゃうぞ?
タイBL「I promised you the moon」第二話の感想を
第一話↓↓↓
待望の演技のレッスンが始まった。
実践的な授業に「ほー」「へー」「はー」とますます芝居の世界にのめり込んでいくTehと比べて、Oh-Aewさんは「役になりきれていない」と演技に低い評価を下されて凹む日々。
そんな矢先。
演劇部の先輩、Khimさんの紹介で2人は自主映画のオーディションに参加することに。
夢への階段を2人で登る第一歩、と上機嫌のTeh。
しかし授業にすら面白みを感じられないOh-aewさんは、内心さほど乗り気ではない。
それでも。
喜んでいる彼氏のために、そして消えかかってる夢に再び火を灯せるかもと、オーディションに参加する。
これが逆効果で「カマっぽいから、違う感じで」と自分を否定された上に、受けても受けても芽が出ないKhim先輩を目の当たりにして、Oh-aewは「自分にこの道はムリだ」と悟る。
授業の時も、このオーディションの時も。
Oh-aewさんが「自分を消せ」と言われる事にものすごく抵抗を示している感じなのが興味深い。
自分ではない誰かになるという部分ではなく、スポットライトを浴びる部分に舞台の喜びを感じていたんでしょうね、今までは。
趣味でやってる小劇団なら自分のやりたいようにやっていればいいけれど、プロを目指すなら(一握りの大スターならいざしらず)そうはいかない。
自分を消して誰かになりきることに喜びを感じられないどころか苦痛ですらある人に役者は向いてないでしょうね。
だからこの決断自体はいい選択かな、とは思います。
自分の限界を知ったから役者になるのは諦める。
その決断を告げて修羅場になる前に、ほんのわずかなサービスターイム。
予告でも流れた「Oh-Aewさんに髪をワシャワシャされ、Teh至福」のシーンとなりました。
このサービスタイムでムフフとなれるのは、Oh-aewが「自分に役者は向いてないから、マーケティングを勉強したい」と言い出すまでのほんの一瞬。
「いろんな困難を乗り越えて、一緒に役者になるんだ。今回のはその第一歩」だと思っていたTehさんは納得がいかないものの、それでも彼の考えを尊重する。
Oh-Aewの画面内での配置が『I told sunset about you』の第三話のラストに似ている事もあり「また捨てられちゃうんじゃないか?」という不安を掻き立てます。
このOh-aewさんの学部変更の話を聞いて僕が思った事のほとんどすべてを、8ヶ月後にTehさんがぶちまけてましたね。
サクッとまとめると。
流されやすくてころころ意見が変わるし、うまく行かないとすぐあきらめる。
今回も、もぐりこんだ授業でたまたま褒められてその気になってるけど、どうせ辛いことがあったら「向いてない」って泣き言言い出すんじゃないの?
前作から見ている人なら「続かないんじゃ?」と思った人は多いんじゃないでしょうか。僕は思いました^^;
そして、そんな懸念を打ち消すためにか。
ここで8ヶ月という時間が経過してもなお、活き活きとマーケティングの課題をやっているOh-aewさんが紹介されます。
こらえ性のないOh-aewさんが8ヶ月経ってなお続けているという事は、これは本物だったんだな、ここに彼の適性があったんだな、と(一応)納得させられます。
自分にあった進路を見つけて活き活きしてる彼氏と違って、夢を追いかけるTehさんはもがくばかりで前に進んでる実感がない。
ま。無計画に夢を追ったら大概そうなります^^;
そしてそんな焦りが土台にあるから。
Oh-aewさんが早々に役者に見切りをつけたことを、役者仲間に告げる時にも毒気たっぷり。
たまらず言い返したOh-AewはうっかりKhim先輩を侮辱することになり、それが元で口論になる。
このあたりのTehさんの毒々しさは、人生の短い期間でも「夢」なるものに捧げた経験があるかないかで印象が変わるのかな、と思いました。
僕は「言いかた……」とは思いましたが、Tehさんの気持ちが手に取るようにわかってしまうので^^;
「悪気はないんだ。思い描いたように進まなくてイライラしてるんだ。そして一緒に夢を追っかけてほしかったんだよ」
と弁明をしてあげたくなります。
「これが本当の僕だったら、お前はもう僕のこと好きになれないって言うの?」と言われて「かもな」って言っちゃった時は、あ、捨てられるフラグ立ったと思いましたが。
激しく喧嘩し、仲直りもできないまんまKhim先輩たちが卒業していく。
そこでTehが突きつけられたのは「卒業後、Khim先輩がフライトアテンダント(主に日本便。おはよー)として働く」という現実。
何度、オーディションで落とされても頑張り続けて「いつか必ず自分の番が来る」と言っていた先輩が夢をあきらめてしまう。
彼氏に続いて、またしても大事な人に裏切られたと感じたTehは怒りを抑えられない。
と怒っているTehには悪いのですが、このKhim先輩の選択は絶対に間違ってない。
むしろ本当に役者になりたいと思ってるなら、生活基盤を安定させたうえで(劇中でKhim先輩が言ってたように)自分を磨いて(それにもお金はかかるので)、半年に一回でも年一で、なんなら声のお仕事なんかもあるので、役者の仕事を続けた方が、長い期間、夢を追える。
そして複数の夢を追いかけられる。
と。
畑の違う仕事をしながら淡々と続けてきた趣味で、10年後にご飯を食べられるようになってる僕は、実体験からもこのKhim先輩の決断を強く強く支持したいです。
あきらめないでどんな形でも続けていれば、誰かが(ホント思いも寄らない誰かが)絶対それを見てるから、腐らないで続けてほしいとKhim先輩には思いますよ。
スースーナー。
ちなみにこのKhim先輩を演じているGoyさんは、Saintさんが主演を務めるWhyRUにも出演しています。
前作I told sunset about youの脚本も手掛けるマルチな才能を持った方です。
「本職を別に持ちつつも、副業として夢を持ち続ける」人や「途中で夢が変わってしまって、去っていた」人への眼差しがとても温かいのも好印象。
そもそもこの作品は、思い描いた夢が比較的順調に叶った人たちによって作られているのに、Khim先輩やOh-aewの様な人を「夢を途中であきらめた人」と雑に切り捨てたりしていない。
自分たちとは違う道を歩む事にした人たちへの敬意が感じられるのが、とても嬉しい。
ま、でも。
Tehはまだ幼くて「人それぞれ自分の人生がある」という事を頭では理解していても、気持ちの落とし所が判らない。
ただ、これがきっかけで喧嘩中だったOh-aewとは仲直りして「同じ夢を追いかけることはできないけれど、君を愛する気持ちは変わらないよ」とこの回は少し物悲しく終わったのでした。
TehにとってはOh-aewは「恋人」であるよりも「イチャコラもできる大親友。夢への階段を一緒に登る同志」だったと思うのですが。
「いつか戻ってきて、また一緒に夢への階段を登れる」という淡い希望が打ち砕かれた今、それでもOh-aewを自分の「特別」な存在だと想い続けられるんだろうか?
一方、Tehが気にいるかどうかを常に意識していたOh-aewの方も、自分の意見を強く主張するようになってきている、つまりTehへの依存度が低くなってる。
君を想う気持ちは変わらないって2人は感極まっていたけれど。
同じ夢に向かって共に歩けないのだから、2人の価値観はこれからさらに開いていくはずで。
愛情のコアとなる部分がなくなってしまっても。
価値観がさらにずれていっても(いや、これがずれたら人生を並走するのは難しいだろうと思いますね)。
それでも変わらず互いを「大切な人」として想い続けられるほど、充分な月日を重ねたようには……。
僕には思えないんですよね。
一度別れたら、この2人は二度とヨリを戻さないようにしか思えなくて。
そしてそれは世界中の視聴者、誰一人として望まない展開で(断言)。
たぶん作り手も望んでない展開で(願望)。
まだ半分も残ってるのに^^;
早くもどうか2人の結末が説得力のあるハッピーエンドに収まるようにと、願ってやみません。
待て次号!
I promised you the moonは(執筆当時)動画配信サービスVimeoのオンデマンドコンテンツとしてインターファンには有償で提供されています。
字幕は英語と中国語。
600円程度なので全5話視聴して3000円程度です。