全編ほとんど校長とPangとの(ほぼ)一騎打ちに費やした最終話。
二転三転、攻守入れ替わる展開に「おぉ!ほぉ!やっぱり!」と感嘆の声をあげた末にたどり着いた結末はまさに衝撃のラスト!
「まじで?」
と、驚愕。
そうなってしまった理由の黒さとあいまって観終わって呆然……。
そんなThe Gifted 最終回。あらすじと見どころをば
第12話はこちらから。
PomからGiftedの黒歴史をつづった書類を奪い返したPangとWave。
校内で開催中の教育庁とのミーティングでGiftedの秘密を暴露。
Gifted Programを中止に追いこむ作戦をいよいよ敢行する。
最終決戦に向かう2人を、憑き物の落ちた顔つきで見送るPomさんの少しほつれた前髪が艶っぽいです^^
こっそり全てを聞いていたNamtarn。
どうして私達に言ってくれなかったの?とPangを責める。
この後しばらく二人の口論が続きますが、Pangは事が重大なだけに友人であるNamtarnやOhmを巻き込みたくなかった。
という趣旨の事を言ってます。
これを止められるのは自分とWaveだけだ、とも。
そんなPangの言葉を聞いて「あなたは変わってしまった」と嘆くNamtarn。
このセリフはラスト2〜3話で、Ohmも口にしていた言葉です。
PangはNamtarnを振りきり最終決戦の場に向かう。
Waveと協力し会場に潜入。
教育委員会の前でGiftedプログラムへのさらなる資金増額を訴える校長。
その前にPangは現れて、入手したGiftedの黒歴史を暴露することに成功する。
ところがそれは逆効果。
彼らGiftedとしての能力を教育委員会の前でアピールすることに繋がってしまい、校長の思惑どおり、プログラムへの資金増額が決まり、委員会は閉幕。
ここで「オトナは汚い」的な目で彼らを見つめるPang君は、成人済としては「カワイイなぁ」と思ってしまえるくらい青臭い^^
「お前らみんな狂ってる」と叫びちらすPangを警備員が連れ出そうとする。
彼らの肩を摑んだPang君は、能力を行使し警備員に校長を捕まえるよう指示を出す。
しかしこの作戦もアッサリ失敗。
校長はPangの能力を解除する方法を知っていたのでありました。
警備員につかまったPang君ですが、実は奥の手がありました。
KornやMonが使った能力を無効化するという液体をコッソリ入手。
Pangは自分の能力を無効化するため、注射器を自分に突き刺した。
一方その頃。
校内を注射器もって奔走していた女教師はコンピュータールームにいたWaveを見つけ、やはり注射器をつきたてる。
ところがこの作戦も失敗する。
そもそも能力を無効化する薬など存在しない。
お前が使ったのはただのビタミン剤だよん!と余裕の表情で告げる校長。
ここで一つ疑問が浮かぶ。
でもKornもMonも能力無効化してんじゃん?
彼らの能力を無効化したのは注射器の液体ではなく、その直後に校長が言った言葉の方。
校長もまた、Pangと同じ能力の持ち主だったのでした。
このシーンわざわざカット切って、校長が肩に手をのせるアップで見せてくれてます。
見返すと伏線だったと判る仕組みでした。
くりだす秘策がことごとく失敗に終わるPang。
その度に表情が険しくなっていくのですが、このあたりまで来ると表情に恐怖の色が現れはじめて、見てて痛々しくなってきます。
校長もいいオトナなんだからもう少し手加減してやればいいのに。と^^;
ここでほぼほぼ勝負あった。
という感じなのですが、校長はさらなる追い打ちをしかけます。
これがまたえげつない。
Gifted全員を呼び寄せて、校長はある質問をする。
「Pang君は学校内の生徒全員が同じ扱いを受けるべきだと言っている。
それに賛成する者はいるだろうか?」
とまどうメンバー。
それでもOhmあたりは悩んだ末にPangの意見に同意すると言い出しそうな雰囲気をかもしだす。
ここで校長、ダメ押しの一発。
「一つ条件がある。彼の意見に賛同するということは、君たちは自分の能力を失う事になるがそれでもいいか?みんなが平等であるべきだというなら、半年かけて育んできた君らの能力も手放す事になるがいいのか?」
みんなが平等に生きていける世界をつくりましょう。
と言うのは簡単だけど、それを口にする人物は自分が何かを手放す事になるとは思っていない事が多い。
それに気づかされた時。
自分の物を手放してまで、平等な世界を求めるのかどうか……。
誰もが平等であるために、自分のランクを下げることができるのか。
このドラマでは誰もが尻込みをしました。
まぁ普通そうだよね。それがリアルな反応だよね。
ただただ嗚咽するしかないPangが哀れでした。
が、校長はまだ止まらない!
「実際、お前には分かっていたはずだ。誰もお前に賛同しないだろうとね。お前は彼らがみんなバカだと思った。だからこれを一人でやる事にしたんだ。
自分だけが私を倒せると思い込んでいたんだろう?
自分は誰より優れている、お前こそ、そう信じ込んでいたんだろう?
なのに平等な扱いを求めて戦ってるだと?
お前の理想主義こそ、とんだまがい物だ!」
位な感じです。
女教師との連携はWaveも知らなかったようなので、全体像を知っていたのはPang1人。
Pangはけっきょく誰も信じていなかった事になりますね。
学内では劣等生だったPang。
自分に能力がある事に気づき、しかもその能力が他人をコントロールする事ができるものだと気づいた時。
Pangは本当にOhmやNamtarnが指摘したように変わってしまったのかもしれません。
自分は一番だと信じて疑わないWaveとつるむ事で、Pangは無意識に自分も特別枠に入る人間だと思いたかったのかもしれません。
そんな自分の虚栄心をごまかすために「青臭い」正義感で理論武装していた。
彼は主人公であり、物語の語り手なので、その「青臭い」正義感が本音であるかのように見ている側も錯覚していましたが、実際は校長が暴き立てたように自分の虚栄心を満たすためだけだったのかもしれません。
最後の最後で物語の背骨を根底からひっくり返す^^;
どす黒い展開になりました。
この後、PomがやってきてPangの記憶を消してしまいます。
校長の体のいい操り人形として使われているPomの哀れさが際立つ、いい表情でした。
こうして終わってみれば、まさに子供とオトナの喧嘩というか。
校長にいいように利用され、いいように弄ばれて、メンタルズタズタにされた後、使い捨て。
まさにPang完敗^^;
記憶も消されて、ただの劣等生に戻ったかと思いきや。
ここで折にふれて、登場してきたPangによるひとり語りの映像が威力を発揮。
Pangが自らの敗因を噛みしめて、再び仲間と再会するところで。
おしまい。
このラストのPangのモノローグは製作者から視聴者への問いかけのようにもなっていて、これを聞く限り、制作側はPangの描いた理想については肯定していて、その手法が間違っていたという認識のように思えます。
記憶を取り戻したPangと仲間たちの逆襲がシーズン2で描かれるのか?
だとしても、Pang以外のメンバーはなんのために戦うのか。
未知数の多い物語ですが、それでも切に続編を求めつつ、このお話についてはとりあえずここまで。
今年ボクが見た映画・ドラマの中でベスト3に入るドラマをありがとう!
そして長々と読んでくれた方、ありがとうございます。
追記。
続編となるThe Gifted Graduationの配信が始まりました。
こちらについても書いてますので、ぜひ読んでみてください。
ちなみにNanon、ChimonにMake it rightのOhmも出演するBLACK LISTというドラマが来年公開するようです。
テイスト的には学園を舞台にしたクライムサスペンスと言った感じ。
本作と似た部分もあると思うので、ボクはとても期待しています。
というわけで。
待て!次号。