早いものでThe Effectも今回で最終回を迎えます。
そりゃそうっすよ。
3話完結だったんだもの^^;
ボクも含めて多くの人がもっと続くと思っていたので、公式ツイッターから「ハッシュタグは#endoftheeffectを使って」と言われた時は、ちょっとザワザワしましたね。
話が話だけに「キャンセルされたん?」と思った人も多いでしょう(ボクも思いましたよ)。
この件いまだハッキリしないのですが、実際の小説を読んだ人のコメントや昨年公開されたプロット。
予告編やメイキングで紹介されたシーンで、これまで放送された3話と明らかに関係のないシーンが出てこない事。
そして出来上がった作品の見事な着地を考えると当初から3話完結だったように個人的には思います。
ブログを書きながら思いましたが、Kengはこの最終回でなんどもなんども「取り戻す」と言っているので、もしかしたらShinとKeng先輩の蜜月期はもう少し長く描かれる予定だったのかもしれません。にしても5話以上続けられる内容ではなかったように思います。
というわけでタイドラマ、The Effectの最終話の感想を
2話はこちら
傷ついたShinを背後から抱きかかえ、Kengは「オレだってこんな事したくなかったんだ」と弁明のフリをした命令を告げると、シャワーを浴びに部屋を出ていく。
眠ったふりをしていたShinはその隙に部屋から逃走。
暴行で傷ついた体を引きずって、なんとか家を出ていくも力尽きたShinはその場に倒れ込んでしまう。
ホラー映画?と言いたくなる気持ち悪さ全開のシーンで幕を開けた最終話。
メイキングではKeng役のOatさんは、この後にくる「いなくなったShinを探してShinの名前を呼ぶ」シーンが最も難しかったと言ってます。
監督的には「簡単なシーンのはずなのに」との事ですが2話、3話を通してKeng役もShin役も難度の高い演技を要求され続けてる^^;
と思いました。
その場に居合わせたBrightとPramotoによって助け出されたShinは病院へ。
BrightとPramotoが待機する中、Shinは意識を取り戻し誰が自分に暴行を働いたのかを告白する。
Shin役のJames君の迫真の演技については後に譲るとして、このシーンはカメラワークの使い分けが興味深いシーンです。
心理的に深く傷つき動揺しているShin。
そのクローズアップを抑える時は手持ちカメラで撮影しています。
子供の運動会を動画で撮った事がある人なら判ると思うのですが、手持ちで撮影した動画は絵が固定できないので、縦横斜めと終始画面が動いてしまい安定しません。
この終始安定しないカメラワークが、Shinの内面の動揺を可視化するのに一役かっています。
加えて一般的に手持ちカメラで撮影された映像は臨場感を感じさせると言われています。
このシーンでのJames君の演技にリアリティを感じるのは、もちろん彼の役への入り込み方が素晴らしいという事もありますが、カメラワークによる所も大きいなと感じます。
そしてブレブレのShinのカットとは打って変わって、BrightとPramotoが映るシーンでは三脚使った動きのないショット。
この対比もShinの不安定な心理状態を強調するのに貢献しています。
検査の結果、大量の薬を処方されたShinはショックから立ち直ることができずに自分の部屋に引きこもる。
一方の大学では、脇役たちがあいも変わらず勉強もせんとネットの噂話に花を咲かせる。
噂の発端になった写真を流した張本人Manは「KengがおかしくなったのはShinと知り合ってからだ」とさりげなくShinを悪者にしようとするが、そこに現れたのはPramoto。
とお供のBright。
「あなたのした事はKen先輩の人生を壊しただけじゃない。他の人の人生もぶち壊したんだ!」
と先輩相手に一歩も引かず説教をする。
この辺りからPramotoの株がグングングングン上昇していくのがThe effectの最終回。
部屋にこもって「一人になりたんだ」というShinに「こんな事に負けちゃ駄目だ!」と喝を入れ、Brightの合いの手を借りながら
「辛い時は、話を聞かせてほしいんだ。そうすれば段々と良くなっていくかもしれないだろ?そのために友達ってのはいるんだよ」
と彼を励ますこのメガネっ子!
性格が男前すぎてそりゃBrightさんが惚れてまうのも無理はない^^
この最終話では苦しむShinの傍らにいて、献身的に彼をサポートする2人の友情(とKengとの決別)がメインに描かれています。
「自分が誤解されるのが怖くて友達を作れない内向的な少年」として登場したShinが、多くの人に誤解され、傷つけられ、さらに硬く心を閉ざしてしまいそうになるのを、なんとか踏みとどまったのは、ネットや世間の声に惑わされない友人の助けがあったから。
こうして三話まで通してみると物語の始めからこのドラマは「先輩と後輩の恋物語」ではなく「友情 or 友人の大切さ」を描こうとしていたことが判ります。だからこの話は二人との友情を築くシーンから物語が動き始めて、二人と別れるシーンで終わってるんだなと思いました。
友人や家族の励ましを受けて、元の生活を取り戻そうとするShin。
しかしネットではあることないこと書かれているし、自分を見る目が気になって学校にもいけない。
ベンチでポツンとしているShinをここでも友人2人がサポートする。
心温まる「ちゃんめーん!」のシーンです。
何を言ってるか判らない人は、まずドラマを見てきましょう!
ちゃんめーん!
友人の助けを借りてなんとかその日を乗り切ったShinに、タイBL史上に長くその悪名を刻むだろうサイテー男Kengが現れ、例によって上から目線で愛を押し付けてくる。
鬼気迫る2人の演技はこの最終話でも最大の見どころの一つですが、語られる中身の身の毛もよだつおぞましさもまたすごい。
この窮地もかろうじてBright&Pramoto組によって切り抜けたShin。
しかし心が追った傷は大きく、彼はついに自殺をはかる。
からくも一命を取り留めたShinだがBrightは大激怒。
何も知らずに校内をうろつくKengに殴りかかる。
ここ。
口喧嘩担当と腕力担当の棲み分けが出来ているのが素晴らしい^^
この後に及んでKengは「彼に許してもらうためならなんでもする」と強弁するのをPramotoさんが冷静にブロック。
「そんな事できるとは思えません。あなたの考えてる事はドラマならありえるかもしれませんけど、現実はそんな簡単じゃないんですよ」
この瞬間にボクのPramoto株はストップ高になりました。
「オレが全て元通りにする。オレがすべてやる。オレはShinを失ったりしない」
なまじ自分に自信があるだけに、間違った方向にも自信満々に突き進む。
そのイッちゃった目が怖いです。
この後自分の罪を認められないKengはManに殴りかかって責任転嫁。
被害者を演じるShin役のJamesさんも相当演じていて辛い役だと思うのですが、このKengという役もだいぶシンドイ役だなぁと思います。
薬の副作用か、事件のトラウマか、うつの診断も追加され自宅へと戻ったShinの元へ、Kengが現れる。
家族や友人に守られながらShinはKengと対面。
いまだに自分のしたことを正しく受け止められないKengに言う。
「先輩がした事に比べたらたいした事ありません。これで、先輩と話すのは最後です。僕らはもう会うべきじゃない。どれだけ謝ってもらってもこの苦しみを和らげてくれるとは思えないんです。先輩はもうすでにボクの人生をめちゃくちゃにしてるんですよ。ボクの人生から出てってください。永久に」
この言葉を聞くKengの表情が、なかなか味があるというか複雑な表情をしています。
ついにShinの言葉で自分の罪を悟った。
という単純な感じにはボクには見えませんでした。
彼が戻ってこない事への絶望、それに対する怒り、そしておそらくShinを(だいぶ歪んでるけど彼なりに)愛してるからこそ彼の意思を尊重しようとする気持ち。人前で侮辱された事への憤り。
いろんなもんがKengの頭の中ではごちゃまぜになってる。
結果、KengはShinの元を静かに去っていきました。
そして物語は冒頭へと戻り、Shinは大学に入り直して、家族やいまやカップルになった友人達の助けを借りて卒業の日を迎えた。
あんだけ自分をくるしめていた世間様は、Shinがどれほど苦しんだかなど全く知りもせず、今日もまた別の話題で盛り上がってる。
バス停でバスを待つShinは、通りの向かい側にKengが立っているのに気づく。
からの問題のラストカットですね。
どっちかが車に轢かれてはいおしまい。
このラストがこのドラマの締めに必要だったのか?
個人的にはこの演出はいらなかったんじゃないかと思えます。
仮に轢かれたのがShinだとしたら、ここまでの展開すべてをチャラにする最悪な終わり方だし、Kengだとしたらむしろあまりにそっけない。
死という罰を与えたいのであれば、絵としてハッキリ見せてほしかった。
この演出だけが「暗示的でなんとなくかっこいいから」程度で付け足されているような軽い印象を感じました。
最後の見つめあう2人のカットバックで静かに終わってしまえば、個人的には非の打ち所のないパーフェクトな最終話だったのにな。
と思いました。
というわけで全3話という短いながら、ボクも含めて見た人の心にかなり深い爪痕を残したとても力強い作品でした。
作品のテーマや描写に気圧されて過大評価になっているのでは……。
と最終話のブログを書きながら思ったのですが、このドラマ描写自体はさほどどぎつくないんですよね。
にもかかわらず2話3話と視聴するのに、ごそっと体力気力を持っていくのは、演出力、そして役者の演技の素晴らしさによるところがやはり大きいと思います。
BLか?
と言われるとだいぶ疑問ではありますが、とても力強く見応えのある作品でした。
このプロダクションと役者達の次回作にはとても期待しています。
Shin役のJames君には次こそ正統派BL作品で可愛くイチャコラしてほしい。
んでは。
読んでくれてありがとう!
また別の作品で。