Moonlight Chiken 中盤戦(5話〜6話)
言葉の上では「別れた」事になったとしても、言われた側は気持ちが全然ついてこない。
ずるずると……。今までどおりの生活を極力変えず続けていけば「別れた」事はなしになって自然と元の鞘へと収まってくれたりするんじゃないか?
甘い期待にすがるAlanの思惑に気づいていながら、Wenは同居生活を解消しない。それでいながらちゃっかり自分は次の恋に進んでく。
もう「別れた」んだから誰と恋をしようが、君が怒る筋合いはないでしょう?
とばかりの言動は4年以上共に過ごした元パートナーへの配慮に欠けている。
思慮が浅いWenさんに、さしもの友人も「キチンと元カレの未練を潰してあげてから次ヘ行け」と釘を刺し、ロックオンした次なる恋のお相手・Jimおじさんには「めんどくさい事に関わりたくない」とコンタクトすら嫌がられる。
かくしてWenさんは、ちゃんと向き合う事を避けてきたAlanとの会食をセッティング。
「もう元に戻る事はありえない」事を怒鳴ったり泣きわめいたりが難しいパブリックな空間で淡々と説く事で「希望」がパンパンに詰まったAlanの胸の風船に針を刺す。
ついでに「出てく出てく」詐欺も辞めホントに部屋を出てきた事自体はいいとして……。そのまんま「行くところがない」とJimおじさんの門を叩くのはどうなんだろう?
お金の節約なのか、極度の寂しがりやさんなのかは知りませんけど、都度好意をもった相手のところへ転がり込む感じになっている部分に好感をもてないというか……。
リアルと言えなくもないですが、4年強もパートナーと暮らした後なんだし一回一人になって自分を見つめ直した方がいいんじゃない?
と思ったりします。
続く6話は、Gaipa失恋。Jimおじさんの元カレの秘密。そして「おじさんは見た」という流れ。
JimおじさんとWenのなし崩し的同棲生活に脅威を感じたからではなくて……。なんとなく話のついでに「俺が特別な人になれたりしない?」と聞いちゃってからの「ごめんなさい」の反撃にノックアウトという展開。
笑顔が凍りつく瞬間をちょっと怖くなる程リアルに表現したKaothungさんの演技が出色。以降このシーンでは視線がずっと泳いじゃってて「ちょっと言ったみただけだから」の台詞とは真逆の状態、ズルズルと崩れ落ちそうになるのを必死でこらえてるのが痛々しいシーンでした。
続くエピソードは「Jimおじさん、過去の恋にケリをつける」という展開。一緒に店を始めたくせに自分に隠れて女性と会ってた元カレとの顛末が明かされました。
口喧嘩の直後に事故死するという……。そりゃトラウマにもなるわという事実。
Wenに背中を押される感じであれよあれよという間に疑惑の女性と会う事になったものの……。
結局元カレがこの三角関係をどう締めくくるつもりだったのか?
残された2人が会ったところで答えは出ない。
彼が自分に見せていた愛情が本物だという確信も結局は得られないまんまなのが、いろんな人物のいろんな問題を提示しつつも明確に白黒つけないこの作品らしい展開だなと思いました。
5話ではWenが、6話ではJimおじさんが過去をしっかりと過去にしようと行動を起こしたエピソード。これでようやく2人は向き合えるはずだったのに……。
待て次号!