開始直後は敵対してて「同性同士で恋をする」より大きな懸念事項が設定されてて
物語半ばには(気持ちの上では)両思いになっちゃって……。
と、本作はここまで、2022年の秋冬時期に公開されたタイBL『Bad Buddy』の骨格や流れをそっくりなぞってきています。
それでありながら……。
キャストの魅力(OhmとNanon)が印象に残ったBad Buddyに比べると、My School Presidentはまずなによりも「ストーリーの良さ」が印象に残ります(主役2人+軍師+チンチラボーイズへの親近感ももちろんあるけど)。
Gunと両思いになりたいTinnの物語=「一般的なタイBLのストーリー」に加え、本作は音楽を仕事にしようと志すGunの物語=「努力・友情・勝利的な青春物のストーリー」が同じボリュームで絡み合って進んでいく。
第三話でGun達チンチラボーイズの目標(目指せ!Hot Wave)とTinnの目標(Gunと両思い)が同じ方向に揃ってからは、Hot Waveへのステップを1つあがるごとに、GunとTinnがFriend Zone ラインに1センチづつ近づいていく展開。
1本のドラマで毛色の違う2つのジャンルが楽しめるオトク仕様になっていて、それゆえにストーリーが印象に残るんだと個人的には思っています。
そして、その要となっているのが『(勝つまでは)恋愛は禁止』という障害。
Bad Buddyにも似たような障害として『親同士が犬猿の仲』という設定されていましたが、あくまで壁としてドンと2人の前に立ちふさがって自分たちの力では変えようがないものでした。
しかし今回の「恋愛禁止令」という設定は「Hot Waveで入賞すれば」解除されるという条件付き。だから自分たちの努力と才能でぶっ壊す事ができる。
障害である一方で、Gunの夢もTinnの恋も前へ進めるための起爆剤になっている。
この設定がある事で、主人公達が自分達の求める物のために必死になる。その様がドラマにポジティブなエネルギーが加わっている事がお話としての面白さに繋がっていると思っているわけですが……。
今回、この設定を揺るがすまさかの急展開に……。
My school President 第7回の感想を
6話で互いの想いを確認しあったGunとTinn。
おいおいちょっと前までの悶々Tinn様はどこに行ったんだよ^^;
と苦笑したくなるほどの果敢さで「僕は君が好きなのよ」とアピールする生徒会長。
アピールの仕方が若干キショイのがNobiTinn時代を彷彿とさせて好印象。人はそうそう変わらないのだ。
しかし『恋愛禁止』設定溶解のきっかけは、主役の2人ではなくチンチラボーイズの1人、Yoさん。「撮影」と聞くだけで気絶する特異体質の持ち主ですね。
Yoさんはネットで知り合った(同じ高校に通う)女子に本気になってしまう。
しかしここに一つ問題が。
Yoさんは自分の写真の代わりにTinn様の写真を使用していて、女子はYoさんのビジュアルをTinn様だと思っている。くわえてチンチラファミリーのYoさんは「恋愛禁止」ルールの適用範囲内にいるのでそもそも彼女とは付き合えない。
話を聞いたGunは「チャンス到来」とばかりにルール改訂を家族会議にかけるが見事に否決。
失意のYoさんは真実を話すために彼女とデート。
顔以外にも盛って話したアレもコレもすべてウソだったことをなじられてYoさんは当初の目論見どおり彼女に振られてしまうのでした。
凹んだYoさんが自暴自棄になってギターを掻き鳴らす様に憐れみを感じたGunさんはその場でファミリーに「ルール改訂」を再度持ちかけ、全会一致でOKに。
かくしてチンチラ鉄の掟はあっさりゴミ箱に。
自ら矢面に立つことになく邪魔な掟を葬りさる事に成功したGun部長。Tiwも真っ青の策士っぷりを発揮しました。
掟を闇に葬りさってもYoさんが彼女を取り戻せるわけじゃない。Yoさんのために、冴えに冴えまくってる新生軍師Guntaphonはさらなる策を捻りだす。
ま、踊って謝るというものですが^^;
そちらの楽曲はこちらです。
オリジナル曲っぽいですね。踊りが結構テキトーに見えるうえに脱力系のゆるーい曲で「ごめんちゃい」するYoさん(とチンチラ+2名)はカワイイなぁと思いつつも「一体この話はどこに転がっていくつもりなんだろうか……」
というモヤモヤを感じました。
冒頭で書きつづったように「Hot Wave Music Awardで入賞するまで恋愛は禁止。だからGunとTinnは付き合えない」という設定はものすごく重要だと思っているので、こうもなし崩し的にルール改訂がなされた事に驚くと共にガッカリした(この時点では)というのが正直なところで^^;
Yoさんが交際を始めてしまおうものなら、秒で「実は僕たちも……」とGunとTinnもFriends zoneを突っ切っちゃう。
はては2週間もしないうちにSoundさんとWinnyさんも後に続くし、下手したらもう1組できちゃってメガネ君だけが取り残されるという展開になるのは火を見るよりも明らかで……。
見つめ合ってるだけで楽しい時期にバンドの練習なんて手につくはずもないし、それで負けても「当然だろう」で、仮に勝っても説得力がない。
「夢を掴んで、恋を実らせる」という大きなテーマでトーンの違う2つのジャンルを1つの物語として紡いできたのに、この設定が消えてしまうと恋愛物パートと青春物パートがバラバラになってしまうか「恋か、夢か」という対立軸として語られるようになってしまう。
それはここまで楽しんできた作品とはちょっと違う気がするんだけど……。
などと思いつつぼんやりと見ているうちに、チンチラのゆるい踊りは終了。
カワイイ、ダンシングごめんねを目の前で見せられて、彼女はYoさんの間違いを許してあげる。
さぁそして!
チンチラ鉄の掟が、Yoさんの手によって崩される!
チンチラ、新時代に突入!一体これからどうなるか!
と思わせておいてまさかの邪魔が。
彼女の兄が現れて、しかもその兄が先代チンチラのボーカルにして、Gunに鉄の掟の重要性を強く説いた(ん?でもこのひとは彼女持ちではなかったか?)人だった。
庭先で騒いでるのが、チンチラボーイズだと知った先代部長は浮つくチンチラを一喝し、かくして「恋愛禁止」の鉄の掟は守られて「チンチラ、色ボケによる解散」の危機はからくも回避されたのでした。
ドラマの空中分解も回避された、と個人的には思います。
いやぁ危なかった。ナイス先代!
待て次号!