タイBL、タイドラマに浸かる日々|サバイなブログ

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韓国学生ゾンビドラマ『今、私達の学校は|All of Us Are Dead』

今回は久しぶりの韓国ゾンビ物「今、私達の学校は」について書いてみます。


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ヒョサンという(おそらく)架空の街の、なんの変哲もないとある日の事。

ヒョサン高校の科学室を清掃していた女生徒が、実験に使うマウスに指を咬まれてしまう。

このネズミこそゾンビウィルスを保持する検体で、ほどなく彼女もゾンビに転化。

 

秘かにウィルスの研究をしていた科学教師は、事態にいち早く気がついて女生徒を隔離……というか監禁するも凶暴化した彼女は自力で脱出(ん?今考えるとなぜ彼女はドアをあけられたんだろう?)。

救護にかけつけた保険の先生に噛みつき感染。この保険の先生を起点として、見るまに学校はゾンビだらけの地獄と化していく。

までが第一話のあらすじ。

 

 

 

以降は生き残ったはいいものの学校内から出られない複数の学生グループを中心に、規模が拡大するにつれてウィルスの秘密を追う警察や軍のオペレーション。

校内に取り残された息子、娘を助けようとするお父さん、お母さん。

都市伝説を自分のチャンネルで流して「イイね」を欲しがるユーチューバー。

などのエピソードが見事に互いに絡まりあって、一歩前進しては、一歩後退。そして事態は悪化するという消耗戦を、幼馴染への恋心、いじめ、友達ができない悩みといった青春ドラマみたいなエピソードを挟み込みながら進んでいきます。

 

『学生を主人公に密が不可欠の学校を舞台にしたゾンビ物』というのが、ありそうで意外とない設定。

 

重火器はおろか格闘技のトレーニングすら積んでない攻撃力ほぼゼロの学生たちが、ゾンビと化した同級生達を押し返し、打ちのめしながらも、校内をグルグルと逃げ惑う。

校舎の様子、学生たちの服装・風貌の類似点などもありまして、日本人的には欧米のゾンビ物よりも、リアリティを感じられます。

 

学生グループの誰かが「推し(生き残って欲しい人)」になってしまったら、その結末を見届けたくて、気づくと5時間見続けました、というタイプのドラマなので、イケメンから不良まで、多様な人物が登場し、生き残りをかけて戦います。

物語序盤では大きく4つのグループが構成されます。


主役グループと呼んでいいのがチーム・オンジョ

正統派美少女という形容がふさわしい(でも攻撃力ゼロ)オンジョ(パク・ジフ)さんと、その幼馴染で新装開店するはずだったチキン屋の息子チョンソンと各々の親友2名(うち一名が僕の推し)

親の力で学級委員になった寡黙系美女ナムラ。唯一それなりの戦闘力を備えるイケメン・スヒョク。金持ちのお嬢様ナヨンに、チームの頭脳ジュニョン君。他数名で構成されています。

我が推しが2人もいるこのグループは、控えめな人が多く強力なリーダーシップを発揮する人がいない。

ゆえに序盤は主人公らしからぬ行動力のなさというか……。

可能な限り大人の救援に望みを繋ぎ、あちこちの教室を転々と閉じこもっていく。

状況を正しく把握しきれてない所もありまして、この非常時においても日頃の好き嫌いが悲劇を生んだりとその未成熟さも含めて「等身大の高校生」という感じ。

好感を抱きやすいグループ。

主人公でもあるチョンソン君(ユン・チャンヨン)はこのグループの空気感を代弁するかのような「どこにでもいる高校生」的素朴感で、作品のリアリティと共感を集めるのに大きく貢献してるな、と思います。

パク・ソロモン君演じるスヒョクは「どこで一体学んだんだ?」と言いたくなるアクロバティックなスタイル(これだけが唯一非現実的)でゾンビと戦うチーム唯一の武闘派。

女性人気の高さとあわせて「ロード・オブ・ザ・リング」のレゴラスを彷彿とさせる役どころです。

 

第2グループはチーム・ハリ&ミジン

2名のアーチェリー部と、ぽっちょり男子一名、高校生にしてニコチン中毒、常にタバコを欲しがるミジンちゃんという4名で構成。

女性2名が主導権を握るこのグループは、校内で唯一飛び道具という攻撃力を保持しているアーチェリー部の寡黙なハリちゃんと、負けん気は強いが攻撃力はさほどでもないおしゃべりミジンという女性バディのかけあいが楽しいグループです。

第一グループに比べると少しばかりノリが軽いのは、必殺の武器を手にしてる余裕のなせる技でしょうか。

 

第3グループ、と言いつつお一人様、グィナム

冒頭で生徒の一人に凄惨ないじめを行う外道。「さっさと咬まれてしまえ」という視聴者の期待を一心に背負う^^;ひじょーに胸糞わるい不良ですが、憎まれっ子世にはばかるとは、昔の人は上手いことを言ったもんで、ゾンビが徘徊する中を非道のかぎりを尽くして生き延びる様には、いつのまにか声援を送りたくなっているから困ったものです。

意思をもたないゾンビと違って、この人は第一グループ所属の「彼」を明確に敵視していてターミネーターのごとく執拗に彼を追いかけて、殺そうとする。

ゾンビの大群で「わー大変だー」ってなってる時にこの人がこつ然と現れる度に物語の興奮度があがります。

 

第四グループはお二人様。

グィナム一味に壮絶ないじめを受けている男子生徒と女子生徒。

運がいいのか悪いのか。

この世を去ろうと屋上にいたまさにその瞬間に感染が始まり、学校中がパニックになるのをムスカのように見下ろす事になりました。

そのまま屋上に閉じこまらせたままでいられない事情が勃発し、2人の運命は意外な展開を見せるのでした。

 

 

 

シナリオも非常に緻密にできているのですが、見せ場となるのは、やはり圧巻のアクションシーン。

特にすごいのが、メイキングも公開されてる学食でのシーン。この激しくて複雑なシーンをワンカットで撮影したとか撮影自体が狂気の沙汰としか思えない^^;


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中盤の図書館のシーンも同様に、学校という建物の特性を生かしたスリリングなアクションを楽しめます。

 

一方、演出的にツメの甘い部分も多々ありまして^^;

ゾンビに狭い場所へと追い詰められて「絶対この人助からないだろう!」と思った人が、次のシーンでは息を切らして戻ってきて「大丈夫だ」と口走る。

あんだけ数いたゾンビさんは、お前一体どこ行ったんだ?

と疑問に感じるような部分も実はチラホラと見受けられるので、そういう細かい部分が気になって仕方がない、という人は少しもやもやとするかもしれません。

 

高校生という事もあって、それほど深い悩みやしがらみがあるわけでもなく、見終わった後も残り続ける深い人間ドラマのような物はないのですが、程よいスリルと感動で12時間という長尺を突っ走るエンターティメントの快作だと思います。

ホラー色やゴア描写もさほどではないので極端にゾンビが駄目じゃなければこれから来そうな若手役者を知るために見ても、楽しめるのではないでしょうか。

以上。

また別の作品で。

 

 

 

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