冒頭5分はとりあえず無視して、大判振るまいだった萌えパートについて無邪気に語ってしまおうと思います。
この作品ではこれが最後かもしれませんしね。
『A Tale of Thousand Stars』の第七話の感想を
第六話↓↓↓
Tianは村全体をまきこみ、売れなくなった茶葉を使ったグッズ販売を企画した。
うまくいくかと思いきや、保管場所になっていた学校が火事になり、苦労はすべて水の泡に。
地元有力者が裏で糸引くこの事件がきっかけになり、大きく2つの出来事が起こる。
1つは村の医者・Namさんが、Tianの出自に気がついてしまう事。
NamさんはすでにTianが心臓移植手術を受けている事を知っている。
くわえてTorfunが交通事故で死んでしまったという事実をかけ合わせ
「Tianの臓器提供者は、もしかするとTorfunなのでは?」
という仮説を導き、水面下で真相を探りはじめる。
この回でTianとTorfunの間に起こった事のほとんどすべてを解明してしまったNam先生。
奥手同士の隊長とTian。
2人をからかいつつも微笑ましく見つめていた先生のショックはとても大きかったでしょうね。
僕も「そうか……。まじでそっちに行くのか」と、どよんとした気分になりましたからね。
ま、そっち側について語るのは後にして……。
火事の結果、起こったもう一つの出来事は、Tianが村を去ろうと決意した事。
子供を溺れさせかけて、地元の有力者に睨まれ村の経済を崩壊させ、あげく学校を放火で燃やされる。
疫病神だと自分を責めるには充分すぎるので、これは至極当然の流れ。
とはいえ隊長は彼を黙って行かせられないほど、Tianにどっぷり惚れ込んじゃってる。
かくして「ウチに来い!」
とTianを半ば強引に自分の部屋へと連れ込んだのでした。
このとき、大人しくバンコクに帰していたほうが、2人とも深く傷つかずに済んだのかもしれないな。
と7話を見終わった後には思ったのですが、この時点では「どさくさに紛れてうまい事やりやがって、さすがたくさんの危地を乗り越えてきた隊長。やるときはやる男だ!」と心の中で拍手を送ったのでした。
実際、ついに巣穴に獲物を追い込んだ隊長はこれまでの奥手っぷりが嘘のような猛攻撃を開始する。
豹変する、とはこういう事かと思うほどにTianにこれみよがしなアピールをする隊長。
シャワーを浴びながら
「うちにTianがいる、し、あ、わ、せ♪」
に浸る隊長の、まーしまりのない顔。
鼻の下を伸ばすってこういう顔の事なんだぁと僕は苦笑を抑えられません。
Tianがシャワーを浴びてる最中に入ってくるわ、マッパの自分を見せつけるわと
「オッサン。いくら顔と体が良くたって、それはもうセクハラやで!」
と言いたくなる程の暴走っぷり。
洗顔フォームでほっぺたをスリスリするという、これだけでも充分艶めかしい妙なプレイを隊長は出血大サービスで半裸で施す。
いやー。この人本性はだいぶヘンタ(以下自主規制)。
しかも我らが隊長殿。
果敢にTianに攻め込むわりにゴールは目前という段階で攻めるのを止めちゃう。
隊長!そこは突撃です!猪突猛進!一気呵成に攻め立てないと!
おぼっちゃまだって
じらさないでよ!触れて!
と思っていたことでしょう。
隊長の隠された変○性が開花してコミカルに描かれていた前半戦からは一点、後半の隊長はクルイ(タイの縦笛のこと)を奏でてムーディーに攻める。
「隊長みたいな人がクルイを吹けるとは思わなかった」
「俺みたいなって?」
「隊長のように厳しい人。武器の扱いしか知らないと思ってました」
「表紙で本を評価するなって言うだろ?」
「なら、なにで評価すればいんですか?」
「評価は一旦置いて、まず読んでみるべき本もある」
「ここであなたの演奏を聞いててもいい?」
「ならなんで特等席に来ない?」
※セリフは大幅に意訳品です
と隊長が脇を開け、Tianが座る。
めっちゃ至近距離で、笛を吹く隊長を見つめるTian。
目がとろけてる^^;
顔を近づけたり、指触ったり、さー今回こそかー!
と思ったら、隊長が「お前を見てるとTorfunの事を思い出す」と最悪のNGワードを繰り出して(それでこそ奥手の隊長だ!)Tianを一気に凍り付かせる。
こういう優しく情感溢れた2人のシーンはしばらく(もしかしたら最後まで)見れないだろうなと思うと、このシーンは本当に愛おしいシーンになりました。
火事で焼けた学校も、村人が内緒でTianのためにと頑張って建て直してくれた。
記念になにかスピーチをしてほしいと言われるTian。
そんな中、内偵をすすめていたドクターはTianの謎を知り、驚愕する。
さて。
視聴済前提、ネタバレ上等のこのブログですが、これ以降物語を大きくひっくり返す重大なネタについて触れていきます。
仮に。
まだ見ていなくて。
これから見ようと思ってる人のために一旦ここで締めの言葉を言っておきます。
待て次号!
ご覧になった後に、気が向いたらまたお会いいたしましょう。
さて。
こっから先はトップシークレットについてぶちまけますよ。
ドクターが仕入れたTianのネタは二段階ありました。
一つは我々が最初から知っている「TianはTorfunから心臓を提供されていた」というもの。
これだけだったらLongtae同様、ドクターもスルリと飲み込んだでしょう。
問題は「なぜこれを隠していたのか?」という部分。
さて。
覚悟はいっすね?
TorfunはTianの車に轢かれて命を落としたのでしたという……。
「この話。こっからどうするつもりなの?」という救いのない事実があかされた(ように思います)。
現時点では運転していたのがTianか別の人なのかは不明です。
さすがにTian(とTul)ではないだろうと思いますが、どうやら「Tianの車がTorfunを轢いた」というのは事実のようです。
ドクターはこの事実を7話の最後に知りますが、僕らは一足はやく7話冒頭のTianの回想でこの事実を知らされました。
Tianに、程度の差はあれTorfunの死への責任があることが事実なら。
Tianは自分の車がTorfunを轢き殺したという事実を知りながら、わざわざ村に来たことになる。
これが個人的には一番の衝撃で……。
常識的に考えれば、それは「贖罪」の気持ちからじゃないかと思うのです。
自分が奪ってしまった命がやり残した事を、自分が代わりに叶えてあげたい、そう思ったから村に来たことになる。
実際、Tianはそのような趣旨のことをこれまで言っていますけど。
加害者としての属性が加わった今、この「贖罪」は本人にとってもより深刻なものであるはずです。
にもかかわらず。
Tianの村での生活が、これまで7話かけて描かれた物がすべてだったら……。
どうなんでしょう。
ここまでの7話を通してTianが罪を償おうとしてなにかした。
彼がその罪に1人苦悩してる。
という描写は現時点で、ほぼありません。
そうなると僕には。
Tianは「Torfunが死んだ」という事は誰にも告げず、頭に血がのぼりやすいけど気のいい青年という顔をして村に溶け込もうとした、ように見えるのです。
自分のせいで村に戻れなくなった人がいるのに、爽やかな笑顔で凧あげて「君の気持ちが理解できるようになった」と共感の情をしめした、ように見えるのです。
罪滅ぼし的なことは特段なにもしていないのに「俺、男に恋しちゃったかも」とTulとリゾート満喫していたのかよ!と感じるのです。
後半になると「みんな、結局は自分ではなくTorfunのことを欲している。自分はTorfunの身代わりでしかない」みたいに落ち込んでる、ように見えるのです。
こうなると「無邪気」という言葉では語れない。
「無神経」でも足りなくて「人の心はあるんですか?」と問い詰めたくなるレベルで、Tianという人物の評価が大暴落するんですよね。
これまでありとあらゆる村でのエピソードが、萌えもそうじゃないものもひっくるめて。
この7話で描かれた素晴らしいシーンの数々もぜんぶ「そらぞらしい」ものに感じられてしまう。
これはきっと作劇上のテクニック。
村人と視聴者にほぼ同じタイミングでこの信じたくない事実をぶつけることで、目線を村人や隊長側に合わせたいがためのテクニック。
そうしてTianを孤立させた後、彼がこの間1人悶々と思い悩んできた事が明かされて、共感をつなぎとめるのだと、僕は信じたい。
今度こそ本当に、待て次号。