タイBL、タイドラマに浸かる日々|サバイなブログ

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韓国ドラマ『ムービング』前半戦。主役キム・ボンソクを好きにならずにいられない。

ディズニー+で配信されている(今のところは)学園超能力ドラマ『ムービング』

全20話のうち、前半7話は一挙公開されたという事なので、ここまで区切りに語ってみたいと思います。

韓国ドラマ『ムービング』第一話から第七話

キム・ボンソクは90キロを超える巨漢と優しく真面目な心を持った高校3年生。

南山トンカツという店を切り盛りする母と2人で暮らしている。

すでに「肥えすぎ」という体重であるにも関わらず、お母さんは「痩せなさい」というどころか「ガンガン食え!水も飲め!」と暴飲暴食を推奨する。

かというとカバンに重り、足首にも重りというDIY的筋肉増強スーツを着用させて学校へと送り出す。

彼女は一体息子を痩せさせようとしてるのか。それとも肥え太らせようとしてるのか。真相はそのどちらもでなく彼の体質に起因していた。

キム・ボンソクはその巨漢にも関わらず、ちょっとした事で身体が浮き上がってしまうという特殊体質の持ち主だった。

 

たとえば気になる異性と目が合うだけで彼の心は浮き上がり、それと同時に彼の身体も浮き上がる。まるっとしたお腹のせいもあり、ふわふわと地面から浮き上がる様はまるで人間アドバルーン

演者イジョンハ君が元から持ってる人の良さそうな顔立ちが、30キロの大増量の結果手に入れたふくよかな体格にサポートされて、見ているだけで癒やされるポッチャリ男子が誕生しました。

7話のラストで「僕は自分の事が嫌いだ」と叫んでましたけど、いやいや視聴者も、周りの大人も、ヒスも、みんなが君の事を性格も体型もひっくるめ好きだから、もっと自分に自信をもっていい。

このキム・ボンソク君が想いを寄せるのが、転校生のヒスという少女。こちらはチキン屋をオープンしたばかりの父親と2人暮らし。

正義感が仇となり不良17人とケンカしてボコボコにしたという偉業のせいで、学校を追い出され(ついで示談金で家計は火の車になり)やっとの事でチョンウォン高校に転校になったという経歴の持ち主。

彼女も「異常とも言える回復力」という特殊体質の持ち主で、風船のようにフワフワしてるボンソク君に「まさかこの人も同じ系統?」と目星をつける。

美少女ヒスに惹かれて、ことあるごとに浮きそうになるボンソク君の若き悩みを中心に、学級長にしてスレンダーボディに似つかわしくない怪力、怪足の持ち主ガンフンとの三角関係を匂わせるのがメインプロット。

このパートだけを抜き出すと「特異体質をもてあます高校生たちの青春ドラマ」ですが、作品全体から受ける印象はもちろんまるで違います。

このブログのホームジャンルであるタイドラマに詳しい方なら「特異体質をもてあます高校生たちの青春ドラマ」というプロットから「The Gifted」を想い起こす人もいるでしょうが、それは多分正しいです。

7話の段階でははっきり明示はされてないものの、どうやらこのチョンウォン高校も学校をあげて、特殊能力を保持していそうな若者を集めて、その能力の開発に力を注いでいる感じです(ただ、その育成能力はThe Giftedほど高くはなさそうですが……)

彼ら若き青春の悩みと並走するサブプロットが、フランクと名乗る再生能力を持つ殺し屋による超能力者狩り。

大体一話に一回はフランクさんと超能力者の戦いが楽しめる作りになっていて、ボンソクがリードする若者パートの韓国恋愛ドラマと、フランクさんがリードする韓国バイオレンスドラマが一時間ない尺の中に同居しているというタイパのいい作りになってます。

このフランクさんのような超能力者狩りを恐れて、自分たちの能力も、息子・娘の能力も秘密にしてきたボンソクママとヒスパパだけど、彼もこのフランクさんの殺しのリストに含まれていた。

フランクパートのヒリヒリした緊迫感が、のほほんボンソクパートを侵食していくのかと思いきや現時点ではそんな事もなく、ボンソクの悩みは「過保護な親への反発」と「好きな人を助けられなかった悔しさ」と「スマートな同級生への嫉妬」という、まー普通の高校生のごく一般的な物。

嫌いな自分を捨て去るために、親のいいつけに(たぶん初めて)逆らって、制御できない「浮遊」という特異体質を「飛行」という超能力にする7話のラストシーンは、ボンソク君の悔しさ(イ・ジョンハ君の表情が伝染しそうなくらいに悔しそうです)を存分に感じた後に来るので、映像のスケール感もあり、とんでもない爽快感。

序盤戦終了かつ、序盤をリードしたボンソクのアーク(キャラクターが物語の中で描く変化の軌跡)のターニングポイントにふさわしいシーンとなりました。

こうなるとこのままボンソクや高校生チームの活躍を見たくなるところですが、どうやら物語はここで名優ばかりが揃い踏みした親世代にバトンタッチするようです。

待て次号!