まずはこちらの動画をご覧いただきましょう。
どん!
タイドラマ界隈でもおなじみの、共演者(主にカップリングされたパートナー)の情報や印象を聞いて反応を楽しむこちらの動画。
タイBL『I promised you the moon』終了に打ちひしがれるブログ主(るかっち)のYoutubeに現れたこれを見てしまったが運の尽き、私の心はタイを離れて正確な位置すらわからなかった^^;
スウェーデンの地へと飛んでいくことになったのでした。
そしてそれは、初めてタイドラマに触れた時を思い起こさせる懐かしい体験となったのです。
オッケー(スウェーデン語で「それでは」くらいな意味みたいですよ)
スウェーデン発のBoysLove『Young Royals』の感想を
この作品はブログ執筆時点ネットフリックスで視聴できます。
さて、まずは序盤のあらすじを
場所はデンマークと海を挟んで北東に位置するスウェーデン王国(知ってましたか?僕はノルウェー、フィンランドとごちゃごちゃでしたよ)。
(おそらく)王位継承権第2位のWilhelm(ヴィルヘルム)王子は、自分に課せられた『王子』という重圧に耐えきれずクラブで暴れて……。
というか国民を殴って^^;
一躍時の人になる。
お母様(つまりクイーン)は王室の名誉を傷つける次男のヤンチャをもみ消すために、多数のお坊ちゃまお嬢ちゃまが通う寄宿学校Hillerska(ヒーレシュカ)に有無をいわさずぶちこんだ。
ママからイエローカード(一枚目です)を食らった王子は、身内にあたるAugust(オーガスト)含めてその取り巻きのお坊ちゃま達とは今ひとつしっくりこない。
お坊ちゃまとしての特権意識が強いAugustは「王子の親友」という地位に収まって将来の投資にしたいと思っているし、お嬢ちゃまであるFellice(フェリス)ちゃんは王子と恋仲になって王室の末席に連なろうと画策してる。
心を開ける人物がいない中、Wilhelmが親近感を感じるようになったのは合唱隊に所属しているNon-Res(通いの学生)のラテン系移民の子・Simon(シーモン)。
Simonは薬物とアルコールの問題を抱える父とは別居中。
シングルマザーの母と妹・Saraの三人で暮らしているも、決して裕福とは言えない状態にある。
入学早々、仏頂面ばかりだったWilhelm王子は、自分の入学を歓迎する式典で美しい歌声を披露したSimonの姿にというか、歌詞というか
「こいつ、かわいいやつじゃな」
とほくそ笑み、以降なにかと理由をつけてSimonと仲良くなろうとする。
ちなみにそんな王子をキュンッとさせた歌声はこんな感じ。
どん!
王子がキュンとなったのは2曲めです。
歌手としてのキャリアが長いらしいので見事な歌唱力ですね。
しかし^^;
自分が同性とキスしてる縦看を背に歌うのはどんな気分なんだろう^^
もうひとつ気づいた。スウェーデン語でもどうやら「シリーズ」の「ズ」の音は消えるっぽいよ。
縁がないと思ってた高貴なお方の接触に当初こそ戸惑うSimon君だが、ゲイを自認するSimonは次第に(というか割とあっさり)王子に心惹かれるようになる。
と、ここまでが大体一話の終わりくらいまでの内容です。
ちなみに王子の性的指向はシーズン1終了時点でははっきりと明かされません。
残り5話を通して、接触をしては『Wilhelmが王子様』というゆるぎない事実にぶちあたり、それでも気持ちを止められないよ、あぁどうしよう!
というぎこちない恋愛模様をかわいらしく、みずみずしく、そして意外にも「めちゃくちゃ頑張ってますね〜」と言いたくなるほど、ピンポイントでは官能的に描きます。
シナリオがよく出来ていて、途中まで絡んでこないのかと思っていたサブキャラ絡みのエピソードが、後半次々とメインストーリーを予想外の方向へ持っていく起爆剤になっていき、最終的には王子絶叫「勘弁してよぉ」という一大スキャンダルにつながっていく。
さすがはネットフリックスオリジナルという辞め時のわからない作りになっていて、うっかりすると全6話(計5時間ほど)を一気観してしまいかねない引きの強さを持っています。
とはいえ。
お話の見どころは「君が好き」「でも僕、王子」というジレンマに悩んで揺れまくる王子と、いいように振り回されまくるのにWilhelmの気持ちを尊重しようとする様がとても健気なSimon君のやりとりの愛らしさにあります。
ビジュアル的にも差異の際立つWilhelm王子とSimon君。
人目を避けて少し離れて歩きながらも互いに目配せして笑みを浮かべる、そんな様すら微笑ましく思えるこの2人には、確かに化学反応を感じます。
Wilhelm王子を演じているのはEdvin Ryding君。
冒頭に紹介した動画の右側の金髪君ですね。一見すると至って普通の、芸能人とは思えないほどにありふれた感じの男子高校生という印象の彼ですが、感情を爆発させる演技がものすごいです。
普通のテンションで会話してきて、いきなりメーターを振り切るように激しく怒り、激しく喜ぶので見ていて飽きない。
動画だと「あどけない」印象しかない彼ですが、険しい表情になると途端に近づきがたい印象になる。
見え方の振り幅が大きいのは「王子というアイデンティティを受け止めきれない情緒不安定な王子様」という役にプラスに作用しているように思います。
ちなみに王族とSimon含めた一般人との距離がものすごく近いというか、気安すぎる印象を僕は感じたのですが、スウェーデンの人口は約一千万人。
東京都の人口よりも少ない、コンパクトにまとまった国のようなので、大国にはないアットホームな空気感が自然に醸されるのかもしれないな、と感じました。
Omar Rudberg君演じるSimonは(動画左のラテン系)は、鼻にかかった甘ったるい声に、ゆったりとした口調の英語で話すこともあって、とても落ち着いた優しい印象。
元から優しい性格の上に惚れた弱みが加わって、コロコロ気持ちが変わる王子にいいように振り回されちゃうのですが、彼は怒鳴ることもなく王子の決定を都度受け入れて、影でこっそりシュンとして「やっぱり続けよう」的なことを言われたらニコニコしちゃう。
あまりにいい人がすぎて、妹からも「それがあなたの問題なのよ」とか言われちゃう応援したくなるキャラクター。
ちなみに役柄上だけかと思いきや。
冒頭の動画から推測するに中の人の素も似たような感じで、いつもニコニコ穏やかなのはOmar君で、Edvinさんは思ったことがすぐに言動に出ちゃう人っぽいです。
少し話がそれますが。
スウェーデンは2009年に同性婚が認められているようです。
同性婚が認められたデンマークとスウェーデン、同性愛者の自死率が大幅に減少(研究結果) | ハフポスト
こちらの記事に寄ると、それによって自殺率も大幅に下がったようでして、このドラマのSimon君が身内にすでにカムアウトしていて、男子に恋しちゃってることそれ自体にはなんのためらいを感じてる様子がないのも、下地がある程度できあがってるからかもしれません。
王子の方も「同性だから」という理由でなく「王族」という立場にくわえて、途切れさせるわけにはいかない「血統」の問題で素直になれない。
というニュアンスが前面に出ています。
(いいように振り回されまくったあげくに)Simon君は劇中で
「I don't wanna be anyone's secret(僕は誰かの秘密の存在でいるのは嫌だ)」
的なことを言うんですけど……。
法的に関係を認められていない国の作品から、こんなに強気なセリフは出てくるのかな?と感じました。
ドラマはシーズン2への伏線を貼った状態で、一応キリのいいところで終わるのですが。
この作品にはシーズン2必要でしょ!
最も保守的にならざるを得ない 「王族」のプリンスたる僕に同性のパートナーが出来ましたと堂々公表する展開を僕は見てみたいと思うし、シーズン2をやるならば現実的な問題として立ちはだかる「世継ぎ」問題にどんな解決策を提示するのかも見てみたい。
というわけで。
遠い東の国からもシーズン2を待っている人間がいますので。
NetflixNordicさん、ひとつよろしくおねがいします。
ちなみにNetflixNordicさんは現在、本作大フィーチャー中らしく、頻繁にYoung Royals関連の動画が投下されているので、興味のある方は覗いてみるといいですよ。
では待て次号!(次はアジア圏に戻ります)