タイBL、タイドラマに浸かる日々|サバイなブログ

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KHEMJIRA 逃れられない呪い 初回

この作品は執筆現在「楽天TV」にてご覧いただけます。


線の細い真面目そうな少年が夜の町を歩いている。どうみたって怪しい風体の男が一人、彼の行く先でごろ寝をしていて、寄せばいいのに(もうはっきりこの人ヤバい、という表情をしてるのに)少年は「ここはポイ捨て禁止です」とちょっとズレた言葉をかける。

ごろ寝をしていたヤバいのは、ヤバいことに人間ではなさそうで、ガーッと白目を剥いて少年に襲いかかってくる。

逃亡もむなしく少年はヤバいのに追いつかれるものの幼少期にもらったお守りの力でヤバいの滅して、一命を取り留めた。

BL感の欠片もない出だしから始めるホラーBL?

KHEMJIRA 逃れられない呪い 初回の感想を

タイトルのKHEMJIRAはカタカナ表記だと「ケムジラー」

前述した主人公の名前です。

音から受ける印象が日本のそれとは違うので、僕には正直「怪獣っぽい名前だな」と感じられてしまったのですが、これは本国タイでは女性っぽい名前だそうで……。

じゃなぜにケムジラーこと、ケム・Khem君は女の子のような名前をつけられたのか。

Khem君の母方の家系では男子は21歳になる前に非業の死を遂げるから(女性名にして呪い?をごまかそうという作戦だと思われます)。

そのことと深く関係があるのか(きっとあるんでしょうけれど)。Khem君が幼少期からずっと幽霊が見える体質で、先日のポイ捨て野郎もその類。

劇中何回もKhem君から見えてる世界が出てくるのですが、それはもうあっちにもこっちにも至るところ幽霊だらけで、そりゃこんだけ見慣れていれば「ポイ捨てしないで」って幽霊相手に(たぶん本人は判ってたはず)声をかけるのも変ではない。

お守りのせいか、これまでは直接危害はなかったのに今回は命を狙われた。自分を守る力が21歳の誕生日を前に弱ってきている。

Khem君はあまり生命力に溢れた子ではないようで「21歳で自分死んじゃう」という運命をあっさりと受け止めてしまってるようなところがある。

彼を、幽霊や呪いに奪われたくない。そう思っているのは彼の友人で、政治家の息子のノリは軽いが、友情にゃ熱いJet君。

「今年のサマーキャンプには行けないね」

と切ないことをいうKhem君を救うため、機転を利かせたJet君は彼の父の地盤に居を構える導師様の元へ彼を連れていき、その庇護下に置くことを画策する。

「シナリオが上手いな」と思ったのは一緒に行くのがKhemとJetの2人ではなく、サークル仲間のバスごと現地に送ったこと。導師を中心に展開される(だろう)妖術ドラマの面だけじゃなく、サークル仲間を数人にせよ置いておくことで学園BLのような展開を描く余地ができる。

実際初回にして、Khemだか、Jetだかは知らないけれど、しきりに2人を気にする学生のことが描写されてますし。

テレビドラマとしては気合の入った幽霊描写やサスペンス演出でハラハラさせつつ、Khemが向かいの家の幽霊から、幼児虐待を突き止め救出するという物語の進行には影響のない静かなシーンの演出もいい。

幽霊が見えるというKhemの呪いにも良い一面がある、ということを描写できるし、決してエネルギーに溢れた少年ではないKhemの中に眠る正義感や、ただ守られるだけの存在ではない強さも、物静かなキャラを壊すことなく描かれている。

2度見するほどのイケメン導師(アップ時の唇の形が信じられないほど美しい)はまだまだお披露目程度ですけれど、寡黙でクールなイケメン導師が、やがて素朴味のある線の細い少年に「オレがお前を守ってやる」とか言うようになるのを想像すると、今から胸が高鳴ります。

ゾンビなんだか幽霊なんだか微妙な感じではあるもの^^;

異形な者感のあるメイクアップがいい仕事をしているし、ラストは導師様とそのお仲間がなにも知らないKhem君のために呪術なんだか、法術なんだかを駆使して、結界らしきものを張る。そこにヒタヒタと迫る異形の者たちという展開で迎えるラストは「王道の少年漫画」的展開で、そりゃこちらの心も燃えてくる。

大満足の第一話でした。

待て次号!