病室で目を覚ました少女は自分が何者か判らない。
女性が自分を覗き込んでいる。
彼女は、私の事を自分の娘だと言うし、ポツポツと現れる同年代の子たちは「私の友達」なんだと言っている。
私は。
自分のことをなにも覚えていないけど。
みんなが言うなら、私はMeenという人間なんだろう。
「Who are you」第二話、三話の感想を
一話は↓↓↓
2話と3話で一つのまとまったお話なので、感想もまとめて。
要約するならこの2話は
「自殺を図って記憶を失くしたMindが、自分とはまるで環境も性格も違うMeenとして暮らしていく。そしてついに自分の事を思い出す」
までを描いています。
この展開で興味深かったのは、Meenという人物が、実際のところどんな人間だったのか。
周囲の人間の言葉やリアクションから浮かびあがってくる過程で、Mind(現Meen)も、おそらくボクを含めた大多数の視聴者も、MeenはTidaのような人間、つまりはいじめる側の人間だったのではないか?
そう感じるようにリードされていく所。
友人であるLyraや、昔なじみの男友達Natee。
なぜか病院で初めて出会う校長の息子Gunの言葉を聞くかぎりでは、Meenは気分屋で怒りっぽい人間だけど、根っこのところでは、いいヤツらしい。
先生からの信頼も厚いし、裕福な家で育っているから、金に困ってなにかするという事もない。
でもこの属性はかなりの部分MindをイジメていたTidaにも当てはまる特徴で。
Mindはもちろん僕らも、Tidaとその友人達が仮面の下でどんなエグい事をやっていたのか判っている。
だからMeenの友人達の言葉を100%信用はできない。
実際、無自覚だったとはいえ友人たちがクラスメイトのKoykaewをATM代わりに使っている描写がある。
Koykaewはいわばパシリのような状態だったのではないか?
そしてその司令塔はクラスでもカリスマ的な魅力を持ってたMeenだったんじゃないか?
そんな不安がちらついている。
そんな状況でKoykaewが自宅の宝飾品を持ち出した事が発覚し、その一つがあろうことかMeenの教室のロッカーから見つかった。
騒然とする中「Meenに無理やり盗まされた」とKoykaewは口走る。
Meenの友人は誰一人「Meenが盗むように強制した」という説を信じない。
僕ら視聴者もこの告白を(おそらく)信じない。
それは事前にKoykaewがMeenのロッカーに人目を偲んでなにかを押し込んでいるシーンを見せられているから。
僕らは、この盗難事件の顛末をMeenサイドの人間として追っていく。
それでも「Meenがイジメを先導していたのでは?」という一抹の不安は消えない。
Koykaewのした事は元々はMeen達から受けたイジメの報復なのでは?
そんな不安は消えない。
学校の評価を気にする大人達によって事件は内々に捜査されることが決まる。
友人は誰一人Meenの事を悪く言わず、代わりにKoykaewは「金でみんなの関心を買おうとしてた」と悪印象を植え付けられる。
友人のGunから「Koykaewはキミのロッカーの番号を知ってたよ」と告げられKoykaewと会う事にしたMind。
Koykaewは全部自分がした事だと告白した後
「誰もそばにいてくれない人の気持ちはアンタには判らない!」
とぶちまける。
この時。Koykaewのそばにいないのは友人だけじゃない。
大多数の視聴者も彼女の側には立っていない。
Mindとして、もしくはMindの側に立つ人間として、この告白を聞く。
そしてKoykaewの言葉は「間違っている」と直感的に感じてしまう。
MindがKoykaewどころではないイジメを受けていたことを知っているから。
Mindが誰よりも「そばに誰もいてくれない」気持ちに共感できる人だと知っているから。
実際、この後記憶を取り戻したMindは、Koykaewの孤独に強い共感を示す。
彼女が宝飾品を盗んだのは、全て友達が欲しかったから。
自分が彼女を孤立させるよう仕向けたからだ。
とウソをつき、罪を認めると供述する。
自分の境遇と重ねながらの涙の告白は、隣に座るKoykaewの心にもちゃんと触れて、結局はKoykaewが「自分が全て一人でやった」と全面自供することになる。
では実際のところMeenはどういう人物だったのか。
それはKoykaewの回想として描写される。
すでに一話で目にしたように、彼女は気分屋でその言葉には若干のトゲがある。
でも彼女はイジメを主導するような人物ではない。
イジメの萌芽とも呼べる場面を目撃して、MeenはKoykaewに自分のロッカーの鍵をあげる。
友達の意味を取り違え、間違った行動に走るKoykaewに「それはよくない」とハッキリと口にする。
MeenはTidaとはまるで違う人物だった。
それどころかTidaのような人物が幅を利かせ、いつのまにかイジメがクラスの中に根を張ってしまうのを(おそらく本人はそんな気もなく)防いでいたのがMeenだった、とも言える。
自分からなにもしなくても友達ができるMeenと違って、Mindは友達を作ることの難しさを痛いほど判っている女の子。
この顛末で距離を縮めたGunに協力を仰いで、Gun愛用のラジコンカーでKoykaewを誘い出す。
ロッカーの中には一通の手紙。
「寂しさを忘れさせてくれるのは友達だけ。友達になりましょう」
初見のときはうっかり気づかなかったけど^^;
「そばに誰もいてくれない寂しさ」を知ってるMindが、同じ気持ちを共有できるKoykaewに手を差し出すという、とても染みる良いシーン。
Koykaewが学校に残っていたら2人はいい親友になれたかもしれない。
3話でほぼ舞台と人物の紹介を終え、第二フェーズへ突入かと思いきや記憶を取り戻したMindは本来の自分の居場所に戻っていくのでした。
待て次号!