「もひとつくらいなんかあるんじゃ」と期待していたJuneさんのエピソード。
前回で出尽くしちゃったようでした^^;
ボクは若干肩透かし感を感じたんですが、それをカバーしてくれたのがTidaのエピソード。
エグすぎるいじめっ子として登場したはずが、気つくといじめられっ子ポジションにいる彼女の物語を、一体どこに落とすのか。
MindをめぐるGunとNateeの恋の鞘当てではなくて^^;
最終2話のボクの関心事はTidaさんの結末に終始しました。
というわけで。
「Who are you」第17話、第18話の感想を
第15話、第16話は↓↓↓
戻ってきたMeen姉ちゃんは「あたしゃどこには行かないからね」と高らかに高校に居座ることを宣言し、Mindは次の高校に入学するまで自宅待機。
Mindへの想いに気づいてしまったNateeはGunに「俺は彼女を諦めないからな」っと正統派少女マンガのような宣戦布告。
June事件が明るみに出た(というか自ら暴露した)Mr Qは責任を感じて辞職する。
乱気流を突破して当物語は着陸態勢に入りました。
という店じまいムードが漂う中……。
この後に及んで不穏さを漂わせているのがTidaの境遇。
カムバックしたMeenにクラスメイトの面前で大恥をかかされた彼女。
そもそもがクラスメイトの彼女を見る目は冷めていて、常に孤立していたけれど、ここに来て公然と彼女を揶揄するようになる。
居場所がなくて泳ぐTidaの視線は、喜々としてMindを苛めていた人物のものなのかと愕然とする想いがありました。
この17話で、初めてTidaのことを気の毒だと感じましたし、心無い言葉を浴びせるクラスメイトに「お前ら関係ないじゃん」と憤りを感じました。
ドラマの中盤を過ぎた頃には、Tidaのクラスでの立場は悪くなっていました。
なのに「いい気味だ」とは思っても「哀れみ」を感じてこなかったのに、ここに来て彼女の境遇の惨めさに心を動かされたのは、彼女についていた「攻撃者」としての属性が無くなったから。
クラスの中で居心地が悪そうにしていても。
彼女はそのうっぷんを晴らすかのようにMindに固執し彼女にマウントを取ろうとしてきた。
ドラマの冒頭からTidaが持っていた「攻撃者」としての属性が、ドラマの進行に合わせて塗りつけられていった「被害者」としての属性を都度中和していたわけですが、Meenがカムバックしたことで、Mindは物理的にTidaの攻撃範囲から外れてしまった。
かくしてTidaからは「攻撃者」としての属性がするっと剥がれ落ちてしまう。
正直、ブログ書くために「はて、なぜだろう?」と考え込まなければ、気づきもしなかったくらいさりげなく、彼女を定義する大切な属性が剥ぎ取られてしまってる。
後に残ったのは、クラスメイトにこれみよがしに陰口を叩かれる惨めな女の子。
陰口を叩くクラスメイトに、彼女は何もしていないという点も、彼女の境遇に気持ちを寄せやすくなる要素になっていると感じます。
辞職することになったMr Qはクラスメイトを前に感動的な演説をする。
「やがて君たちを大きな困難が襲うかもしれない。疲れ果て、混乱し、絶望にあえぎ、時には道を間違える。でも覚えておいてほしい。いつの日か、その全てを、君たちは必ず乗り越える。多くの人が、今この瞬間、君たちが成熟した大人として振る舞うことを期待するかもしれない。でも実際のところ、そこまで急ぐ必要はないんだ。君たちはまだ17歳で、過ちを正すのに充分な時間がある。間違いに気づいたら、手遅れになる前にそれを正してくれ。さて、ホームルームは以上だ」
この演説で語られた「間違いを正す」がこのドラマの主要なテーマ。
大人も子供も多くの登場人物が犯した間違いを葛藤の末、正してきました。
ほぼほぼ正されてしまったので^^;
ドラマは店じまいモードが漂っているわけですが。
Tidaはこの時点でも、まだ間違いを正していません。
最後まで悪役として彼女を描いて、クラスメイトにボコボコにされて「ざまをみろ」と見てる僕らをスッキリさせる。
そういう演出もあった筈なのに、2話を残すだけとなったこの段階で視聴者が気持ちを寄せる余地を作ったのは、彼女が「間違いを正す」シーンをきっちりと描き、そこに気持ちを寄せてほしかったから、ではないでしょうか。
スピーチのシーンは、生徒の反応も含めとても感動的に仕上がっているんですが、ここで先生を涙で見送る面々が、Tidaに陰口を叩くいじめっ子でもある、という部分が個人的にはとても印象的でした。
どんな人にも善良な部分と醜悪な部分が混在している。
2つのシーンの対比からそれを感じます。
新しい学校に移る前に、結果的に騙すことになったクラスメイトに真実を告げたいMindはMeenと入れ替わって学校に。
Mr Qの最後の演説にもかかわらず、くすぶっていたTidaはMindを見るなり攻撃を開始。
例によって彼女の作戦はMindよりも自らの評判を壊滅的に傷つける類の作戦で^^;
実は止めてほしかったのか、学校に来てないMeenに「これからちょっとやばいことすっから」と一報を入れたこともあり、間一髪で彼女は「身の破滅」を回避する。
そうそう、この「やったら身の破滅」作戦は、初回で撮影していたイジメの動画をネットに流す。
という物でした。
結果として、どちらに大きなダメージを与えるのか判断できない成績優秀な子って^^;
止めに入ったMeen姉さんの鬼の形相が聞いたのか。
TidaはMindを電話で呼び出した。
動画は消した。
という話の内容から「Tidaがついに間違いを正すんだ!」とはすぐに判るんですが、このシーンは変な意味でドキドキしました。
Tida「(涙を目にためて)私が悪かった。許してほしいなんて言えないけれど」
Mind「許すわ」
Tida「Mind」
二人、ヒシっと抱き合って号泣。
とかいう^^;
ここまでの積み重ね、すべて台無しにする展開にならないかと、シーンの終わりまでハラハラしました^^;
シーンの終わり近くで、そっちに行きそうな雰囲気になったのが下手なホラー映画より心臓に悪い。
さすがというか、当然というか、この心配は杞憂に終わりましたね。
Mr Qは「間違いを正せ」と言ったけど、Tidaの間違いは正すことのできない重いもの。
たまたまMindが生き延びて、今目の前にいるからといって「あの時のワタシが悪かった」なんて言葉で正せるような物じゃない。
それを本人が自覚してるから
「絶対に謝らない。私が謝って、アナタが許すと言ったところで、なにも変わらないんだから」
という言葉が出るのだろうし、最後の最後までTidaの口から謝罪な言葉が出なかったことが、逆に彼女の後悔を強く感じさせてくれる。
Mindも理解をしめしてやるのが、精一杯の歩み寄り。
両手を広げて彼女の謝罪を受け止めてやれる程、寛容にはならない。
彼女の罪は重すぎて「今更、間違いを正すことはできなかった(けど、彼女はそれを正そうとは試みた)」という締めくくり。
2人の関係が正しく苦みのある着地をしたのが、個人的には満足度の高い結末でした。
ボクの中では、この2人の結末でドラマとしては店じまい。
希望にあふれる一年後の顛末は、少し親切すぎるかな?という気分もしないではなかったんですが、大団円を見て、安心して現実に戻っていけるという人も多いので、これでいいのかな。
という気がします。
と、ここまで。
サスペンスっぽい空気感に惹かれて見始めた作品ですが、あらゆるジャンルがミックスされた多面的な楽しみ方ができる作品でした。
ボクは恋愛パートはサブパートくらいの気持ちで見てましたけど、そこをメインに楽しんだ人もいるでしょう。
キャラクターの造形がぶれないし、役者の演技も素晴らしいので、人物の言動の説得力が高い。
2020年上半期に見たタイドラマとしてはベストな作品となりました。
BL要素はかけらもありませんけれど、視聴満足度の高さは保証できます。
ぜひ時間を作って見てください。
さてこの作品はここまで。
読んでくれてありがとう!また別の作品で。