タイBL、タイドラマに浸かる日々|サバイなブログ

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タイドラマ Vice Versa「体も世界も入れ替わる」

入れ替わり物が好きじゃないるかっち的にあまり期待値の高くなかった本作品。フタをあけてもやはり入れ替わり物だったわけですが、第二話への期待値は俄然急上昇を遂げました。

タイBL『Vice Versa』初回の感想を

ちなみにタイトルの「Vice Versa」は「反対」とか「逆もまた然り」というニュアンス。ミラーエフェクトを効果的に使ったオープニングシークエンスは、ただスタイリッシュな映像にしたかったわけではなくタイトルの持つ意味を視覚化しています。

 

 

 

メガネっ子の素朴系男子Layさんはカラリストになりたくて映像業界にアタックをする大学生。彼らの一味の熱烈な女子に駆り出され、彼女の推しのPuenさんが現れる(という情報の流れた)空港へ向かうが、彼女の仕入れた情報が適当なのか、彼女が単にうっかりさんなのかPeunさんは別のゲートに現れた。

それいそげ!

推しに向かって駆けていく彼女に別れを告げて、ピーがしたくて入ったトイレにPuenさんもやってきた。

ガセネタに振り回されてばかりの彼女に代わってLayさんは彼女が渡すはずだったプレゼントを(小用を足したばかりの)手で渡そうとする。

「プレゼントは受け取っちゃいけんルールだったりしますかね?」と心配顔のLayさんですが、それよりも先に

「まず手を洗え」

そんな視聴者の心を代弁してか。Peunさんは「手は洗ったのかな?」とクールな返し。とはいえプレゼントには触ってしまったし、今さらどうにもしようがないしPeunさんはナイスなスターで「気にしないよ」とプレゼントのアルパカ帽をひょいっと被った。

アルパカが正面に来てないよ……。と思ったLayさんは帽子の位置を直してあげる。この接近が、彼の心に恋を芽生えされるという展開なのか。このまま古風な展開で物語が終始するのだろうか……。

と、序盤戦は王道を通り越して手垢のついた展開で、一瞬不安がよぎったのですが、こっから大きく予想もしない方向に旋回していきます。

ちなみにLay君が志望しているカラリストというお仕事は、主に映画やドラマなどで画面の色彩、明度などをコントロールして、物語を「色」でサポートするお仕事です。

例えばこちらNadaoBangkokが制作配給をしているドラマシリーズ「BLACKOUT」の予告編をご覧になると「色」がどれほどシーンの空気を作りあげるか。なんとなく判ってもらえると思います。


www.youtube.com

Nadaoの代表作でもあるI told sunset about you、I promissed you the moonもシーンに応じ細かくカラーコントロールをした作品で作品のビジュアル面を大きく支えています。

元々はカラコレ(カラーコレクション)という名称で呼ばれていて、撮影環境に応じてどうしてもバラついてしまう素材間の明るさや色相を整え一定の基準に揃えるというお仕事でした。

デジタルデータで編集作業が一通り全て完結できるようになった辺りから、ただ補正(コレクト)するのではなく、色をより積極的にコントロールする事でストーリーが訴えかける感情をサポートするカラーグレーディングという作業に変わっていきました。

Lay君が冒頭の就職面接のシーンで説明しているのは、このカレーグレーディングの概念です。

冒頭にそこそこの尺を使い実際に映像の色をセリフに合わせていじってみせるという小技まで挟んだカラーグレーディングの説明が、この先お話に絡んでくるのかも実は個人的には密かに気になります。

さて。Layさんはバイトの最中に無事採用が決定し、しかもそのバイト先での相手役はPeunさんで、ベタな展開にまっしぐらかと思った矢先に海で溺れて意識不明。

目が覚めた時にはTessという男子に入れ替わっていた。そしてこのTessさんがいるのはLayとは別の世界線

今年に入ってMCUが「スパイダーマン・ノー・ウェイ・ホーム」「ドクター・ストレンジマルチバース・オブ・マッドネス」と2本の平行世界を描いた作品を投下してますが、このVice Versaもちょっとだけ(いや結構か?)価値観の異なる平行世界を物語の土台にしています。

 

 

 

別の世界線にいる男子生徒と中身が入れ替わってしまったという設定は知る限り映画ドラマのジャンルを問わず聞いた事がない設定で(ラノベとかにはありそうですが)こんな、込み入った設定を採用してちゃんと扱えるのだろうか?

といういらん心配をしたくなります。かくして物語はLayさんとPuenさんのベタなBL路線を大きく逸脱。

同性婚がオッケーのこの世界線から元の世界に戻るためのLayさんの冒険が幕を開ける。似たような境遇の人たちがあつまる秘密結社(アジトの合言葉は2getherのあのセリフ)に接触をしたLayさんは「元に戻る方法」について教えを受ける。


その方法をざっとまとめると感じ。

まず自分と同じように世界線を移動した人を探せ。
その人はなにかしら自分と通じるものを持ってる。
その運命の人を見つけると、あなたは多分夢を見る(世界線を移動した人は夢を見ない)その夢はおそらく場所に関する物なので、目が覚めた後はなる早でその場にかけつけろ。さすれば元の世界線に戻れるだろう。

そしてもう一つ。

あなたを元の世界線に連れ戻す運命の人は殆どの場合、体の持ち主と親しい人だ。

今の体の持ち主てっさんが親しく、かつLayさんがなんとなーく心引かれる物を持っていたのがTunという同年代の男の子。

このTunさんを演じるのがBad Buddyで新境地を開いたNanonさん。そしてLayさんが一時体を借りているTessさんがその際にパートナーだったOhm君となります。

初回はほぼLayさんの主観で進むので、入れ替わった後もほとんどのシーンがLay役のSea君のビジュアルで登場してくるのですが、周囲の人間にはOhmさんの外見に見えているという設定。

LayさんはTunと接触を試みるも、TunはTessを避けていて「お前のことなんて大嫌いだ」と口走った所で、待て次号!

もて余しそうな設定を乗りこなせればSci FiBLとしてマフィアBLに並ぶ新機軸を築く作品になるんじゃないでしょうか。期待したい。

rukacchii.hatenablog.com