タイBL、タイドラマに浸かる日々|サバイなブログ

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タイドラマ。Not Me2話。バイクの免許が欲しくなる

個人的には「ヒーローズ・ジャーニー」という言葉を強く意識するエピソードでした。シナリオの足腰がしっかりしてる、という事なのでしょう。

Not Me第二話の感想を

rukacchii.hatenablog.com

双子の兄・ブラック(Black)をボコボコにした悪漢に復讐しよう。

ロシアから帰国してまだ日が浅いホワイト(White)だったが、兄になりすましその友人たちに接触。適当に話を合わせているうちに、彼らがその日集まった理由が明らかになる。

彼らはまさの今日この日。タイの実業家タウィーの別荘を放火する計画を立てていて、今から別荘に向かうところだった。

聞いてないよ〜。とは兄になりすましてる手前言えないWhite。

渋々現地に同行しつつも彼らの計画を辞めさせようと口を開く。だがしかし。そもそもこの放火計画の発案者(そしてどうやら計画立案者も)はBlackであり「炊きつけるだけ焚きつけといて、今更それはないだろう?」と詰められる。

こうなっては計画を阻止する手立てはWhiteにはない。

あとはせいぜい自分が実行犯にならないようにと、やってる風を装うが、その間にも残りの3名はバンバカガソリンを別荘へ撒き散らし火炎瓶で火を放つ。

と、Black以外の3名にとって予定通りの展開に、ここで思わぬハプニング。誰もいないはずの別荘に、なぜか青年が1人潜んでいたからだ。

「被害者を出さない」のが放火計画の前提条件。

4名は謎の青年を助け出すため火の中へ。

かくしてメインカップルがまるでラブラブしないまま、Firstさん演じるヨック(Yok)のパートナーとなるだろうサブカプ要員が新たに追加されたのでした。

 

 

 

2話前半は放火事件の顛末にハラハラしながらBlackのグループ内での立ち位置や思想をWhite(と視聴者が)理解していく展開。

Black四天王の全員がほぼ?ノーメイクという事もあり、気温と炎の熱で肌のテカリや凹凸なんかが強調される。そのリアルな肌感はタイBLの王道たるラブコメディに必要なキュンとかキラキラ感にはほとんど作用してないのですが、サスペンスとしてはザラっとした絵作りが高い臨場感をだすのに効果を発揮している。


Blackという人の人となりはいまだハッキリと判らないものの、思想的には彼らの中でも中心的存在だった事が垣間見えてきます。

「自由は魂の酸素(freedom is the oxygen of the soul)」なる詩的な言葉でメンバーをその気にさせるなかなかの煽動家。

 

ちなみにこの「自由は魂の酸素」という言葉はBlack君のオリジナルではないようです。元ネタは20世紀のイスラエルの軍人であり、政治家、モーシェ・ダヤンという方の発言。第二次世界大戦で片目をなくし、その後も第一次中東戦争第二次中東戦争イスラエル軍の勝利に貢献してきた方だそうです。

軽くググっただけの知識で言うのもなんですが、キャリアというか人生のいろんな物を戦う事で勝ち取った(そして守り抜いた)軍人の言葉にシンパシーを感じたBlackが、「自由」を勝ち取る手段として反政府闘争に手を出したのは当然の帰結のような気がします。

もっとも。力を行使して勝ち取った物は、その後も力を行使しつづけないと守れない。仮にBlackさんらの反政府闘争(のように現時点では思えます)がなんらかの成果を導き出したとして、その成果を固守するためにはずっと力を注ぎ続ける羽目になりかねない。

そこまでしても力の行使を選択するほど、Blackの目には現在のタイという国は「望ましい形」になっていないように見えていたのでしょうか。

 

この放火事件の妥当性については、後日Whiteと学生の間で話にあがっています。

学生は放火犯(目の前にその一味がおるで)にわりかしシンパシーを感じていたりするので、Blackの感じる問題意識はタイの若者の間では特に説明を要せず共感を持って受け止められる物なのかもしれません。

しかしこれ、BLドラマの感想に書く内容だろうか^^;

 

 

 

Black四天王の放火ミッションは成功(と言っていいのだろうか?)し彼らの日常が戻ってくる。ちょっとした正義感を発揮したせいで、とんでもない目に巻き込まれたWhiteはミッションを放棄。Whiteとして約束された道へと何事もなかったかのように逃げ戻る。

 

このあたりの流れが冒頭でも触れた「ヒーローズ・ジャーニー」を強く感じる部分。ヒーローズ・ジャーニーとはすごく簡単に言ってしまうと、ドラマや映画で主人公が遭遇する出来事の順序や内容の共通したパターンを説明したものです。

  1. その人なりのありふれた日常を生きていた主人公が
  2. ある日、冒険へと誘われる(なかば強制的に)。
  3. 主人公は冒険の必要性を感じるものの、日常を離れて旅に出る事に本能的な恐怖を感じ、旅立ちを拒もうとするが……。
  4. 師に導かれ、主人公は旅にでる

と、ここまでがだいたい主人公の旅路の第1幕。

これをNotMeにあてはめると

  1. 有力者の息子として約束された将来があるWhiteが
  2. 兄の危篤を知らされ、犯人をつかまえるため兄の人生を生きようとする
  3. 兄の人生の片鱗に触れたWhiteはあまりの危険の多さに尻込みしWhiteの日常に舞い戻る

だがしかし。

双子の兄はそんな半端を許さない。

双子同士のシンクロ率の高さを利用して弱気なWhiteを叱咤激励^^;

Whiteはこの問題を片付けるまで自分は約束された人生を歩めないのだという事を思い知り、再びBlackになりすます(本格的に旅に出る)。

と。

ここまでキレイにはまってくる作品も(特にラブストーリーでは)珍しい。

話の流れは冒険物だし、扱うテーマはゴリゴリに政治的だし、ことごとくこの作品はBLとしては異色だと感じます。

 

ともあれWhiteさんはより兄に近づくため、まず私にできる事から着手してみた。それはバイクの練習だ^^;という事で。

待て次号!

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