タイBL、タイドラマに浸かる日々|サバイなブログ

タイBL、タイドラマを中心にアジアのドラマ・映画について語ってます

韓国ドラマ『未成年裁判』ひたすら続く鬱展開。なのに途中でやめられない傑作社会派ドラマ。

韓国物だとゾンビ率が高いこのブログにしては珍しく^^;

ゴリゴリの社会派ドラマに「未成年裁判」ついて書いてみます。

 

予告はこちら。


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いきなりの余談ですが、↑の予告の右側にいるのは初回に裁かれる少年(13歳)なんですが、中の人はなんと女性で、しかもこの時27歳だったとか……。

いや、女の子じゃないかな?とは思ったのですが女優さんの年齢には驚きましたね。

 

さて脱線終了……。

というかこれからが本番だ。

自らも非行少年だった過去を持つ地方裁判所の判事チャ・テジュは、処罰をくだした少年たちにその後も寄り添いその更生をサポートしている心優しい判事さん。

 

そんな彼の同僚として新しく赴任してきたのが、やり手の女性判事シム・ウンソク。

全10話を通して微笑すら浮かべない氷の女王、シム・ウンソクは「非行少年を嫌悪している」と公言してはばからず、メデューサも石化しそうな鋭い眼差しで少年たちをにらみつけ、彼らの嘘や、言い訳を暴き、情け容赦なく冷徹に処分を下していく。

「怒」以外の感情を表に出さないウンソクだが、判決をくだす彼女の前には常に被害を受けた者の写真が飾られている。

 

この氷の女王を演じるのはキム・ヘスさん。

日本でもリメイクされた「シグナル」で男顔負けのガサツな刑事を演じた方です。今作の役どころも「怖い」という点では共通してますが、怖さの質は真逆。

 

 

 

言うなれば性善説のチャ・テジュ判事と性悪説のシム・ウンソク判事が、対立しながら事件の裏側にある少年たちの事情に光をあてて、ピュアな白でも黒でもない、立場によっていかようにも見え方が変わる辛い人間模様を視聴者の前に開示していきます。

 

加害者となる少年たちも様々で、骨のずいまで腐ってるような子がいる一方、情状酌量の余地がある子も当然いる。

まっとうな道を歩もうと苦闘しながらも這い上がれずに、ボロボロになりながら加害を重ね、罪に絡め取られて人生を失っていく少年犯罪者。

突然人生を壊された被害者に寄り添う一方、ドラマが同じくらいシンパシーを持って描くのはこの「情状酌量」の余地がある少年達。

より強い物に理不尽に虐げられているという点で被害者と同質だからかもしれませんが、彼らは犯罪者であり、自分より弱い物を虐げその人生を破壊した張本人でもある。

 

少年犯罪者の事情を深く掘り起こす事で強い同情の念を見ている側に喚起しておきながら、返す刀で彼らの犯罪で人生を壊された被害者の慟哭を見せつける。

気持ちの置き場に困る展開がひたすら続き、視聴に体力が必要なのですが、構成のうまさ、キム・ヘスを筆頭に演者の怪演の効果もあって、先が気になって仕方がない。

非常によく出来た社会派サスペンスドラマでした。