個人的にまず意外だったのが、この作品がジオブロ案件に(2021年2月7日現在)ならなかった事。
2020年後半のジオブロストームを考えたら、早くから制作が決定していて前評判も高かったこの作品も当然買い付けの話をされているだろう。
「Youtubeでは見れないかな」と思っていたら……。
紆余曲折はありつつも^^;
GMM作品ではデフオルトになりつつあるプレミア配信でリアルタイムで見ることができました。
というわけで通称、千星?100Stars?
『A Tale of Thousand Stars』の第一話の感想を
Tianはお金持ちのドラ息子。
仲間を引き連れ自堕落……とまではいかないけれど、あまり褒められない日々を過ごしている。
「どうせもうすぐ死んじまうんだ。怖いものなんかなにもない」
その日も金目の物を賭けギャンブルに熱を入れていた。
高速バスに揺られるTorfunにTouchyな叔母から電話が来る。
Torfunは叔母の元に籍を置いてはいるものの叔母とは現在別居中。
「近くの工場で働いて家計を助けてくれればいいのに」
と言う叔母だが、実際Torfunは毎月ちゃんと仕送りをしてる。
「あんなもので充分だと思っているの?」と叔母はキンキンとわめくけど「ギャンブルに使っているのでは?」という疑惑が拭いきれない。
バスの中だと言うのについ声を荒げてしまい、Torfunは周囲の顰蹙を買う。
タイ国境付近の森林地帯で、Phupha隊長と仲間たちは怪しい一団と交戦する。
「お前らのボスは誰だ?」
と言っているのでマフィアかなんかだと思われますが、この怪しい一団がさて密輸業者的なものか、麻薬の売人なのか、不法入国者なのかは一話を見たかぎりでははっきりしていません。
が、とりあえず捕らえた2人から聞き出せる情報はなく、Phupha隊長は悪態をついた。
負けがこんだギャンブルにさらに熱くなったTian。
どうやら公道でのチキンレースでウサを晴らそうと思っていたら、突然走った胸の痛みで倒れてしまう。
医者の見立てでは「長年に渡る心臓の炎症が原因で、心不全を起こしやすい(DeepL調べ)」との事。
すぐにでも心臓の移植手術をしないと命に関わる状況だった。
一方、高速バスから降りたTorfunは小さな日記から取り出した写真を見て微笑む。
暗くてハッキリしませんが、Phupha隊長らしきものが写ってる。
風に煽られた写真を追って、車道へ飛び出したTorfunは突っ込んできたトラックに引かれてしまう(僕はミステリ好きなので、この人生きていると面白いなと思ったりしてしまいます)。
こうしてTorfunの心臓がTianに移植され、Tianは一命を取り留めたのだ。
絵的にも派手なTianパートとPhuphaパート。
間を繋ぐ感じのTorfunパート。
3つのシーンを組み合わせたこの冒頭シーンは編集がとても素晴らしく、なかなかの緊張感。
一見、TianパートとPhuphaパートの箸休めのように穏やかな印象のTorfunパートも母がおらず、身をよせた叔母との家庭内不和を感じさせて、わりと内容はシリアスな物。
予告からはもっと牧歌的なテイストを想像していたので、主要な登場人物の置かれた境遇がどなたもあまり幸せそうじゃないのがこれまた意外ではありました。
もっとも意外だったの主人公Tianのキャラクター。
自分に心臓をくれたTorfunの魂的なものに誘われて、Phuphaのいる辺境の村にやってきた気のいいだけの普通の青年なのかと思っていたら、けっこー感じの悪いキャラとして登場しました。
目つき悪い序盤の印象が強かったので、初見時はお金に困った事のないボンボンのくせに「生きる意味を見いだせなくて、だらしない日々を過してる」という甘ったれた設定なのかと思っていたんです……けれど!
「俺はもうすぐ死ぬんだ」と伏線めいた事を言い、かつ友人の1人がそれに引っかかっている事(日頃から言ってる口癖なら流すと思うので)。
母親も父親も「2度めの人生を与えられた事に感謝しろ」的な事を言っているので、彼らはTianの心臓が悪いこと(つまりあまり長く生きられないかもしれない事)を知っていたのかも……。
だからTianは自暴自棄になっていたという設定なのか?
という疑惑も沸いてきました。
一命を取り留めて5ヶ月。
リハビリに励むTianは、車は取り上げられるしママには終始監視されるしで、平常運転の不機嫌モード。
かといってコッソリ抜け出し、昔の仲間と集まってみても以前程には楽しめない。
どうしても自分に心臓を提供してくれた人の事が頭から離れない。
ついに彼は父の机から盗み出した臓器提供登録フォームからTorfunの名前を突き止める。
Whiteさんが演じる友人Tulに車を使わせて、TouchyなTorfunの叔母のところまで押しかける。
彼氏だと嘘をつき、彼女の私物を漁るTian。
見つけた小さな日記を持ち去った。
中には彼女の社員証というか職員証というかが挟まれていて、彼女が田舎町で先生をしていた事を知る。
ここで一足飛びにチャンマイに飛ばず、上流階級の生活への馴染めなさとか、彼女の日記に記されている「物はないけど、毎日に生きがいを感じられる」生活へのシンパシーとかに時間を割き、気まずい空気の家族への態度を軟化させる描写を入れたのがいい。
日記を読んで生活態度を改める気になったのか、と思わせておいて「旅立つ前の最後の晩餐だったのか!」と驚かされます。
かくしてTianはチェンマイからさらに山深い辺境の村、PhaPunDao(パパンダオと読むらしいです。GoogleMapで検索しても見つからないので架空の村でしょう)に向かったのだった!
ちぃっともBLらしい展開のないまま、残りは次回に持ち越しだ。
待て次号!